以前「吉積情報が Google Workspace で実現する働き方改革とは」というタイトルの記事を公開しました。
この記事の中で、「当社が掲げるコアマインドが当社の働き方改革促進のエンジンになる」と書きましたが、これは決して「当社が掲げるコアマインドこそが働き方改革を促進できる」という意味ではありません。
これはあくまで当社の働き方改革実現のためのロジックであり、本当に伝えたかったのは「行動規範によって働き方改革は推進される」という本質的な部分です。当社はこの行動規範こそがデジタルトランスフォーメーション(DX ※1)を実現する基礎になると考えています。
そして、この行動規範を強化するために必要になるのが評価制度であり、「行動規範」と「評価制度」が連携することでDX推進の下地が生まれると考えています。
今回は、行動規範と評価制度がDX推進に必要であると考える理由について解説します。
※1 総務省のHPで公開されている情報通信白書のホワイトペーパーを見ると、DXとは「ICT(Information and Communications Technology)の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことと定義されています。DXが注目されている背景についても、上記のホワイトペーパーをご参考ください。
しかし、これから起こる変化に対して、日本のDXは世界的に見ても遅れをとっていると言われています。
2021年9月9日、IGS株式会社が従業員数1,000名以上の大企業人材を対象に「DX業務に関する意識調査」を実施し、その調査結果を公開しました。
この調査結果によると、大企業人材の44%がDXに対してネガティブ・無関心であることが明らかになり、そのうち40代の4割は「DXには関わりたくない」と回答しました。
一方、どの年代も「関わりたい」と回答する割合は一定数いるため、DXに対する意識は二極化していると言えます。
例えば、Amazonは「Our Leadership Principles」と呼ばれる14項目からなる信条(行動規範)を掲げており、従業員はこの行動規範に沿って日々の業務を遂行しています。
一見「Leaerships Principals」という言葉から、マネージャー向けの行動規範のような印象を受けますが、これはAmazonに関わる全ての従業員が共有する行動規範になります。
その中の規範の一つである「Invent and Simplify」には、「リーダーはチームにイノベーション(革新)とインベンション(創造)を求め」と記載されており、Amazonは全ての従業員に対してDXに必要なマインドを要求しています。
Google には「10 の事実」と呼ばれる行動規範が存在します。
その中の規範の一つである「すばらしいでは足りない。」で、「現状に満足しないことが Google のすべての原動力となっている」と記載されており、 Google の全ての従業員に対して常に変化を要求しています。
この規範こそが Google が全社的にDXを実現する原動力になっています。
DXを実現する企業は、行動規範を従業員に浸透させるために評価制度との連携も行っています。
例えば、Amazonでは、前述した14の行動規範をベースとした評価制度を構築することで、採用基準と社員評価を明確化し、これにより「全社的な価値観の共有」と「Amazonが必要とする人材の確保」を実現しています。
Amazonの行動規範は非常に難易度が高いものの、行動規範の実行がそのまま評価に紐付くため、従業員はモチベーションを持って行動規範に取り組むことができます。
また、Amazonの従業員は共通の価値基準を持って業務を遂行できるため、「仕事の価値観」によるチーム内のトラブルも最小限に抑えることができます。
つまり、行動規範は、以前本コラムでも紹介した心理的安全性の実現にも繋がると言えます。