自治体DXとは、都道府県や市区町村などの自治体がデジタル技術を活用して、行政サービスの向上や効率化に取り組むことです。
令和2年12月、政府において「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針(PDF)」が決定され、目指すべきデジタル社会のビジョンとして「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会〜誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化〜」が示されました。
また、令和4年6月には「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定され、上記のビジョンが、目指すべきデジタル社会のビジョンとして改めて位置づけられました。
参考:総務省|自治体DXの推進
前述のビジョンを実現するためには、住民に身近な行政を行う自治体である市区町村の役割が極めて重要だとされています。
自治体においては、以下のようなことが求められるとともに、DXの推進にあたって住民等とその意義を共有しながら進めることも重要視されています。
また「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において掲げられた以下の基本戦略に基づいた取り組みが期待されています。
総務省が改定した「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画【第2.0版】」では、自治体DXの重点取組事項として、以下の6つの項目が挙げられています。
参考:総務省|自治体DXの推進
※「地方公共団体の総職員数の推移 」を元に作成
ピークである平成6年から平成28年にかけて一貫して減少しており、その後微増傾向にありますが、令和4年の職員数は平成6年から約15%減少していることが分かります。
単純に考えると、職員数減少に伴い1人あたりの業務が増え、負荷がかかってしまうことになります。業務負荷を軽減するため、デジタル技術を活用したDXが求められているといえるでしょう。
また、少子高齢化による自治体の財政悪化も考えられます。総務省によると、2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38%台になると推計されています。労働人口の減少と都市部への人口一極集中により、地方では過疎化や税収の減少による財政悪化が見込まれるため、DXによる業務効率化の重要性が高まると考えられます。
参考:我が国の人口について
自治体DXにおいては、以下のような課題が挙げられます。
デジタル化の進んでいない自治体では、書類による手続きなど、アナログ作業を中心とした業務が残っています。
このような紙を使った業務がある場合、書類の保管場所が必要になるだけでなく、管理コストも発生してしまいます。また、書類を紛失するリスクも抱えています。
自治体DXにおいては上記のような管理コストやリスクを減らすため、アナログ作業からの脱却が求められるでしょう。
自治体DXを推進する際の大まかな流れを解説します。
それぞれ詳しく解説します。
自治体DXの推進には、デジタル化自体を目的とせず、あくまで手段と認識する必要があります。
そのためには、首長や幹部職員によるリーダーシップの発揮や強いコミットメントが重要であり、首長や幹部職員自身がそのことを理解しなければなりません。
例えば、大阪府豊中市では、市長自らが「とよなかデジタル・ガバメント宣言」を行い、デジタルによる価値創造と変革を進めることを打ち出しました。
他にも、プロジェクト・チームを設置する事例や、ヒアリングによる課題抽出を行った事例、民間企業や地域住民等と意見交換を行った事例などがあり、これらはDXの認識共有や機運醸成に有効だったと考えられています。
全体方針を踏まえて、DXの推進体制を「組織」「人材」の両面から整備する必要があります。
組織の整備においては、DX推進担当部門の設置やその他の部門との連携体制の構築が求められます。
人材面においては、デジタル人材の確保や育成が求められます。スキルを持った職員の配置が難しい場合は兼務などの工夫を行ったり、必要に応じて外部人材を活用したり、民間事業者への業務委託も検討する必要があります。
前述した「DXの重点取組事項」を踏まえて、個別のDXの取組を計画的に実行します。
実行に当たっては、各自治体においてPDCAサイクルによる進捗管理を行うことが望ましいとされています。
なお、DXを推進するに当たって、柔軟でスピーディーな意思決定が求められる場合には、OODAループのフレームワークを活用し、アジャイル型の進捗管理を行うことが有効とされていますので、自治体の取組内容によってはこのような進捗管理方法の導入も検討しましょう。
鹿児島県肝付町が Google が提供するクラウド型グループウェア「Google Workspace」をセキュリティ対策に活用した事例です。
これまで、自治体にはセキュリティ対策として、庁内ネットワークとインターネットを分離することが求められており、肝付町もこれに従っていました。
その後総務省がこの対策を見直し、インターネットからデータを取り込む際に、セキュリティの脅威を除去する「無害化」の処理を実施することで庁内ネットワークとインターネットの接続が認められました。
この「無害化」を実施するにあたって肝付町は Google Workspace を採用。Google 日本法人によれば、これは全国の自治体で初めての試みとなります。
京都府の「出勤簿廃止によるペーパーレス化とテレワークの促進」事例の概要を紹介します。
北海道北見市の「業務の効率化による書かない窓口、ワンストップ窓口の実現」事例の概要を紹介します。
宮城県仙台市の「電子回覧板導入による持ち運びの負担軽減や周知効果の向上」の事例を紹介します。
本記事では自治体DXについて解説しました。
自治体DXは、職員の負担軽減や住民の利便性向上の観点から、取り組みが求められています。
自治体DXを推進するに当たっては、デジタル人材の確保や育成などの課題が浮き彫りになることでしょう。
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