導入事例
日本ライフライン株式会社
「まずは触れてみる」から始まった医療機器大手の挑戦。日本ライフラインがGeminiと歩む、自発的な業務改善への道
日本ライフライン株式会社 様
(後列、左から)
吉積情報株式会社 マーケティング部 岡本、日本ライフライン株式会社 情報システム部 草村様・澤田様・今井様・蔵上様
(前列、左から)
吉積情報株式会社 ビジネスソリューション部 武部、日本ライフライン株式会社 情報システム部 宮田様、吉積情報株式会社 ビジネスソリューション部 マネージャー 谷川
- 業種
- 医療・福祉・介護
- サービス
- AI Driven
- 企業規模
- 1000名以上
すでにGoogle Workspaceを導入していた同社が、次なる一手として選んだのが生成AI「Gemini」の全社展開でした。単なるツール導入に留まらず、いかにして現場の「自発的な活用」を促し、組織文化をアップデートしていったのか。吉積情報の伴走支援プログラム「AI Driven Premium」を通じた変革の軌跡を伺いました。
高度な安全性が求められる現場での生成AI活用ーリスクを先回りして管理する決断

日本ライフライン株式会社 情報システム部 蔵上様
― 医療機器業界という、高いセキュリティ水準が求められる環境下で、Geminiの全社展開を決定された背景を教えてください。
蔵上様:私たちは以前からGoogle Workspaceを業務基盤として活用してきましたが、生成AIの波が押し寄せる中で、これをいかに安全かつ効果的に全社へ浸透させるかが喫緊の課題でした。検討段階で最も慎重になったのは、やはり情報セキュリティの担保です。医療業界ということもあり、情報の正確性とセキュリティには細心の注意を払わなければなりません。
一方で、生成AIの有用性が認知されるにつれ、会社が把握できない形での利用が広がってしまう可能性も考慮しなければなりませんでした。安易に禁止を打ち出すだけでは、かえって管理の届かない「シャドーAI(隠れた利用)」を誘発しかねず、根本的な解決にはつながりません。
それならば、Google Workspace上で動作し、ビジネス利用における高度なセキュリティが担保されているGeminiを正式なインフラとして提供し、正しいルールのなかで活用を促すほうが、リスク管理の観点からも健全であると考え、全社的な導入の道を選びました。
普段使っているメールやドライブと同じ保護レベルでAIを扱えるという安心感は、導入を決めるうえで大きな要因となりましたね。
もっとも、単にライセンスを配布しただけでは、現場での具体的な活用イメージを持つのは難しいものです。業務の性質上、AIがなくとも仕事が止まってしまうわけではありません。だからこそ、まずは「使ってみたい」という意欲を持つ社員が、迷わず最初の一歩を踏み出せるような環境を整えることが先決でした。
また、自分には必要ないと感じている層に対しては、まずは体験してもらうためのきっかけ作りが欠かせません。そこで、外部パートナーの手を借りてトレーニングを実施、まずはAIに触れる時間を増やすことで、組織全体へ少しずつ浸透させていく道を選んだのです。
「この人なら任せられる」、現場の意欲を支える講師の信頼感
― 多くの選択肢がある中で、最終的 Geminiを選定された理由は何だったのでしょうか
蔵上様:最大の理由は、Google Workspaceとの高い統合・親和性です。日々の業務で使っているGoogleドライブのファイルやGmail、カレンダーと直接連携できる利便性は、他のツールにはない強みでした。また、生成AIの波が来る中においては「シャドーAI」への対策も急務でした。会社として公式に、かつ安全な環境としてGeminiを提供することで、ガバナンスを保ちながらAI活用を推進できると考えたのです。当初はサードパーティ製のAIプラットフォームも検討していましたが、Google WorkspaceへのGemini統合の発表を受けたことも、導入を決定づける大きな要因となりました。
― 数あるパートナーの中から、吉積情報の「AI Driven Premium」を選ばれた決め手は何でしたか?
蔵上様:吉積情報さんは、単にGeminiに詳しいだけでなく、BigQueryやLookerといったGoogle Cloud全般にわたる広い知見をお持ちでした。私たちの将来的なデータ活用の展望を見据えた際、その専門性は非常に魅力的でしたね。また、他に比較していた代理店がパッケージ化された定型プログラムを提示する中で、吉積情報さんは私たちの社内事情やスケジュールに合わせて、柔軟にカスタマイズして提案してくださいました。特に、吉積情報さんの講演は、聴衆の心にスムーズに入り込み「自分も使ってみたい」と思わせる強いインパクトがあり、この方たちなら安心してお任せできると確信したのが大きな決め手となりました。
「覚えなきゃ」から「使ってみたい」へ。研修を機に現場主導で回り始めた改善のサイクル
(左から)日本ライフライン株式会社 情報システム部 澤田様、今井様
― 実際にトレーニングを実施してみて、社内の反応や利用率に変化はありましたか?
澤田様:全3回のトレーニング後のアンケートでは、講師の方の解説が非常に分かりやすいと満足度の高い結果がでました。実際の画面を見せながら「こうやって使うんだ」という具体的なデモンストレーションがあったことで、各自が自分の業務に引き寄せて考えるきっかけになったようです。
数値にも明確な変化が現れており、トレーニングの実施により、アクティブユーザー数が約30%増加しました。
蔵上様:トレーニングを通じて、AIに対する社員の心理的ハードルが大幅に下がったと感じています。これまでのシステム導入では見たことがないほど、事後のアンケートにはポジティブな意見が並びました。従来のシステム導入のような「覚えなくてはいけない」という受け身の姿勢ではなく、社員が自発的に「これは良いものだ」と感じて使い始めてくれたことや、実際に使ってみて「ここが良かった」という意見が自然に出てきたことは、大きな成果だと捉えています。
「それはGeminiで解決できる」高いセキュリティ基準のなかで、現場が自律的に動き出した理由
(左から)日本ライフライン株式会社 情報システム部 草村様、蔵上 様
― 現場発のユニークな取り組みとして『Gemini 通信』について教えてください。
蔵上様:情報システム部門発信で、Geminiに関連する紹介動画を定期的に社内に公開しているのですが、AIを一時のブームで終わらせず、継続して使ってもらうためのきっかけ作りとして始めました。登場キャラクターを固定化しストーリーが展開していくショート動画で、説明に偏らせず、まずは広く興味をもってもらうことを意識したコンテンツなんですが、この動画制作プロセス自体にもGeminiを活用しており、AIを使えばこれほど効率的で面白いコンテンツ制作ができるんだという生きた事例を示す役割も兼ねています。こうした親しみやすい発信を続けることで、Geminiを身近なアシスタントとして感じてもらえるよう努めています。
― 生命に携わる医療機器を扱う貴社では、安全性や正確性が最優先されるかと思います。そうした中で、新しい技術である生成AIのトレーニングはどのような雰囲気で行われたのでしょうか。
蔵上様:医療に関わる企業として、正確性や安全性への意識は全社員に深く浸透しています。しかし、トレーニングの場においてはその厳格さが新しい技術への心理的ハードルにならないよう、あえてオープンで自由な雰囲気づくりを重視しました 。Googleらしい親しみやすさを取り入れることで、若手社員を中心に、失敗を恐れず新しい技術を吸収しようとする姿勢を引き出すことができたと思います。例えば、画像生成機能で予期せぬ結果が出た際も、それをエラーとして片付けるのではなく、AIの特性を理解し、より適切なプロンプトを考えるための学びの機会としてポジティブに共有したことも、社内での活用を加速させた要因だと感じています。
マーケティングから営業事務まで。「やりたかった」が次々と形に。NotebookLMによる情報集約からGAS生成まで、Geminiで変わる組織の自走力

― Geminiの利用率や活用状況はどのように変化しましたか?具体的な事例や効果があれば教えてください。
蔵上様:個別の数値化はこれからですが、実務レベルで多岐にわたる成果が出ています。
たとえばマーケティング部門では、NotebookLMを活用し、社内資料などの大量の情報を取り込ませることで、必要な情報を瞬時に引き出せる体制を構築しました。
また、技術的な知識のあまりない事務担当者がGeminiと対話しながらGoogleサイトを構築したり、情報システム部ではGAS(Google Apps Script)のコードを生成させて、これまで手作業で行っていた膨大なログ解析を自動化した事例もあります。これまで「やりたくても知見や時間がなくてできなかったこと」が、AIの助けを借りて確実に実現し始めています。
まずは、アーリーアダプター層が率先して「こんなこともできる」と背中を見せることが、組織全体の浸透には重要なのではないかと感じています。
一人ひとりに寄りそう最適なアシスタントとともに、人間にしかできない付加価値を追求する

(左から)日本ライフライン株式会社 情報システム部 蔵上様、宮田様
― 今回のプロジェクトを振り返って、吉積情報の支援はいかがでしたか?
蔵上様:吉積情報さんは、当社の業界特有の事情や現場の心理的なハードルを深く理解した上で、伴走してくださいました。講師の方のレスポンスの早さや、将来的なデータ利活用まで見据えた専門的な知見は、非常に心強いものでしたね。単なるシステム導入ではなく、「どうすれば現場がワクワクするか」という視点を共有できたことが、最大の成功要因だったと感じています。
蔵上様:今後は、さらにGemini利用の裾野を広げていくことが目標です。最終的には、Geminiを「一人ひとりの最高のアシスタント」として使いこなし、定着させていきたいと考えています。業務が多様化する中で、AIに任せられる部分は任せ、人間はもっと「考えること」や「創造すること」に時間を割く。そんな、人間本来の価値が発揮される組織を、これからも追求していきたいです。
導入を検討されている企業の皆様には、まずは難しく考えすぎず、第一歩を踏み出してみることをおすすめします。AIを一人の優秀なパートナーとして迎え入れる機会を社員に提供すること自体が、組織の未来を切り拓く大きな力になると確信しています。

2026年2月記事作成(取材・文/吉積情報)
%20(1).png?width=1080&height=227&name=YOSHIDUMI_01%20(3)%20(1).png)