導入事例
宇都宮製作株式会社 様
導入済みツールの「真の価値」を解放する。伴走支援で実現したGoogle WorkspaceとGeminiの全社展開
宇都宮製作株式会社 様
(左から)宇都宮製作株式会社 代表取締役社長 / 大西 浩太郎 様、管理事業部 システムグループ 課長 / 高坂 耕一 様
- 業種
- 製造業
- サービス
- Google Workspace、Google Workspace with Gemini、MY START、AI Driven
- 企業規模
- 100-999名
1903年(明治36年)創業の宇都宮製作株式会社は、「『まもる』を製る」をブランドメッセージに、手袋を中心とした衛生・介護・医療用品の企画開発から製造・販売までを手掛ける衛生用品の総合メーカーです。120年以上の歴史を誇り、海外にも多くの取引先を持つ同社は、近年、社長自らが主導する生成AIの導入など、先進的な働き方改革を推進されています。今回は、同社がどのようにしてツールの活用を全社に広げ、生産性向上を目指しているのか、そして、全社員のスキルと意識の底上げを目指して実施した吉積情報の「AI Driven」プログラムがもたらした変化と今後の展望について、代表取締役社長 / 大西様、管理事業部 システムグループ 課長 / 高坂様にお話を伺いました。
2025年11月掲載
ファイルサーバー中心の旧体制から、全社活用へ。Google Workspaceと生成AIで目指す生産性向上
宇都宮製作株式会社 代表取締役社長 / 大西 浩太郎 様
―吉積情報に切り替える前は、どのような課題を感じていらっしゃいましたか?
大西様: 2020年にサイボウズなどのグループウェアから切り替える形でGoogle Workspaceの利用を始めました。海外とのやり取りが多い当社にとって、Gmailへ移行することでセキュリティを担保できるという点は大きなメリットでした。しかし、活用はメール利用が中心で、共有ドライブをはじめとする多くの便利な機能がほとんど活用できていませんでした。結果として情報共有は旧来のファイルサーバーに依存しており、営業や購買担当者が社外からアクセスできないなど、業務上の大きな障壁となっていました。
また、社内のナレッジが個人のPCやサーバー内で属人化し、企業の情報資産として蓄積されないという課題も抱えていました。今思うと、立ち上げるツールが複数あること自体が手間でしたね。
高坂様: 以前は機能について不明点があっても、管理コンソールから直接問い合わせても求める回答がなかなか得られず、気軽に相談でき、すぐに頼れるパートナーが必要だと感じていましたね。
伴走支援とコスト意識が決め手。吉積情報と歩む、全社的な活用促進への道
宇都宮製作株式会社 管理事業部 システムグループ 課長 / 高坂 耕一 様
―導入パートナーとして吉積情報を選んでいただいた理由は何でしたか?
大西様: 私たちはGoogle Workspaceが持つ、同時編集のしやすさや必要なツールが一つのクラウドに集約されている点を評価していました。その上で、このツールをどうすれば全社で使いこなせるようになるか、というフェーズにいたのです。複数のパートナーを検討する中で、吉積情報さんの「機能をかさ増しするのではなく、あるものを活用する」という方針に共感しました。また、社員教育の必要性を感じていたタイミングで、導入から活用までをサポートする「MY START」のような伴走支援プログラムを提案していただいたことが大きな決め手です。
―導入支援プログラム「MY START」はいかがでしたか?
大西様: 基礎と応用の二段階で構成されており、基礎で学んだことの疑問点を解消してから応用に進めるのが良かったです。講習は録画データで納品されるので、後からでも見返して活用できる点も助かっています。
高坂様:MY STARTではないのですが、GooTorial*はGoogle Workspaceに関するスキルをeラーニングで学ぶことができ、社員が自分のペースで機能について学ぶことができ助かっています。
※GooTorial:Google Workspace の活用方法を動画で学ぶeラーニング・マニュアルサービス。吉積情報でライセンス契約のあるお客様には無償で提供しております。
https://www.yoshidumi.co.jp/service/service-gootorial
「どこでも仕事場」に。Google Workspace活用で生まれた、業務の変化と安心感

―吉積情報への切り替え後、どのような変化がありましたか?
高坂様: Outlookなどを使っていた頃と違い、様々なポータルを開く必要がなくなり、Google Workspace一つに情報がまとまったのが大きいですね。 日々の稟議作成や予実表なども、常に最新版のファイルが全社で共有可能になりました。 特にスプレッドシートは、共同編集のしやすさや、誤って編集してもすぐに元に戻せるという安心感から、現場での利用が大きく進みました。
大西様: それにスマホからでも安全にアクセスできるので、PCを持ち歩かずとも、時間や場所を問わず情報共有が可能になったことは経営視点では大きなメリットです。紙の手帳を持ち歩く必要もなくなりましたね。
―特に便利だと感じる機能や活用方法はありますか?
大西様: Google KeepからGoogleカレンダーへのメモ転記機能は、以前からブックマークしていた機能をスムーズに使えるようになり、重宝しています。他には、ブックマークを整理して上部表示する小技なども便利だと感じています。
高坂様: その他、社内にチャットで質問できるヘルプデスクを設けたことで、これまで個別に対応していた問い合わせを集約できるようになりました。その結果、問い合わせする側・受ける側両者の工数が削減され、私たちが本来注力すべき他の業務に時間を使えるようになったのは大きなメリットです。
「生成AI弱者になるな」― 社長のリーダーシップで推進する、安全なAI活用文化の醸成

―Google Workspace with Geminiを導入されたきっかけは何ですか?
大西様: 世の中で「生成AI格差」が生まれつつある中で、当社が「生成AI弱者」になってはいけないという強い危機感がありました。以前から、業務におけるアイデア出しや、企画書に添えるイラスト・デザイン作成の簡略化が課題としてあったため、これを解決できるのではと考えたのが導入のきっかけです。 もちろん、入力した情報がAIの学習に使われない、クローズドで安全なGoogle Workspaceの環境であることが必須条件であり、一番の評価ポイントでした。
私が率先して「生成AI弱者になるな」と発信し、まずは安全な環境で触ってみて、仕事のやり方を変える楽しさを感じてほしい、という方針のもと、私自身が積極的に活用し、手本を示すことで導入を推進しています。
―現在、Geminiはどのように活用されていますか?
大西様: 毎日、資料作成やメール作成、情報収集、アイデア出しなどに活用しています。 具体的には、一度作成した資料のブラッシュアップや、法律的な見解の確認、海外の取引先と会話する際のアジェンダ作成など、多岐にわたります。 自分一人で100時間考えても出ないようなアイデアを出してくれるので、思考の壁を越える手助けになっています。ゼロから考える心理的なハードルを下げてくれるのも大きな効果ですね。
―Geminiを活用したことで、実際にどのような効果が得られましたか?
大西様:Geminiがもたらした効果は、単なる業務効率化に留まりませんでした。難しい内容を噛み砕いて自身の理解を深められるだけでなく、相手の立場に立った客観的な見解も参考にできるため、コミュニケーションの質そのものが向上しました。また、Gemini(生成AI)が新しい分野であることから、「学べば学ぶほど周囲の人よりも詳しくなれる」という、Excelなどの既存ツールでは得られなかったスキルアップの楽しさや、学習への新たな意欲創出にも繋がっています。
「競争力強化に不可欠」 全員が生成AIを使いこなす組織を目指して

―AI Drivenプログラム実施前は、どのような課題を感じていらっしゃいましたか?
高坂様:社長が率先して活用を推進する一方で、活用している社員とそうでない社員の差が大きい状況でした。新しい情報が出れば社内の掲示板で共有はしていましたが、それだけで多くの社員が実際に手を動かすまでには至らなかったのです。
大西様: AI Driven実施前のアンケートでは、約3割の社員が生成AIについて「よくわからない」と回答しており、まずはこの意識を変える必要がありました。今後の企業の競争力を考えると、社員全員に生成AIを使い倒してもらい、組織全体の「当たり前」のレベルを上げたいと考えていました。
―AI Drivenプログラムの実施を決めた際、社内の反応はいかがでしたか?
高坂様: 正直、「また研修をやるのか」といった層も少しはおりました 。ですが、同時に「こういうのを待っていた」という社員も一定数いたと感じています。
―AI Drivenプログラムには、どのようなことを期待されていましたか?
大西様: 社員一人ひとりが、生成AIがいかに便利で、生産性を向上させるかを実感し、「以前のやり方には戻れない」という感覚を体験してもらうことですね。自社での具体的な活用イメージに落とし込み、モチベーションを向上させるきっかけにしたかったのです。
高坂様: 使う人と使わない人の差があるのは仕方がないので、まずは研修を通じて全員を同じ「スタートラインに立たせる」という効果を大いに期待していました 。今回の目的は、まさに社員のスキルの「底上げ」でしたね 。
「脅威」から「便利なツール」へ。数値で見る確かな意識と行動の変化

―プログラム実施後、社員の皆様の意識に変化は見られましたか?
高坂様: 顕著な変化がありました。事後アンケートでは、Geminiに対して「便利」というイメージを持つ社員が69.2%から84.1%に増加し、逆に生成AIに対する「脅威」というネガティブなイメージは5.8%から0%になりました。「よくわからない」という回答も半減し、明らかに理解度が向上したことがわかります。
―新しいものに対する「怖い」という心理的なイメージを払拭することは、簡単ではないですよね。多くの企業が直面する最初の大きなハードルを越えることができた、素晴らしい変化だと思います。
高坂様:管理コンソールで利用状況を見ると、特に若い社員が積極的に使っているのがわかりました。身近な同僚が使っているのを見て、「自分も使ってみよう」と周りに良い影響が広がっているのかもしれません。
―業務での活用に対する意識はいかがでしょうか?
高坂様: 「業務で活用できる」または「どちらかといえば活用できる」と回答した社員の割合が、65.4%から85.5%へと大幅に向上しました。特に応用編のトレーニングで、営業やマーケティングなど、職種に合わせた具体的な使い方を提示していただいたのが効果的でした。研修を通じて、社員が「あ、これ自分の仕事に使えるな」と、"自分ごと"として捉えられたのだと思います。
メール作成時間が8割減。目に見える時間短縮効果と、その先の可能性

―業務改善において、具体的な効果はありましたか?
高坂様: 目に見える効果が報告されています。これまで15分かかっていたメール作成が1~5分に、40分かかっていた議事録作成が10分に短縮されたという声が上がっています。メールは特に利用率が高いので、この効果は大きいですね。
―時間短縮以外に、どのような効果を感じていますか?
大西様: 単に速くなるだけではないのがポイントです。自分では思いつかないような言い回しや、当たり障りのない表現を提案してくれるため、文章を推敲する精神的な負担も大きく軽減されていますね。これにより、社員はより創造的な業務に時間を使えるようになります。
―今後、AIの活用をどのように進化させていきたいですか?
大西様: 世代に関わらず全社員が生成AIを使いこなし、「生成AI格差」のない状態にすることが目標です。 製品やサポート、優れた人材と生産性の高いAI活用を組み合わせることで、それを当社の企業価値として外部にもアピールしていきたいと考えています。
今後の展望と、生成AI活用を目指す企業へのメッセージ

―今後の生成AI活用について、展望をお聞かせください。
大西様: 今回のプログラムで、全社員が生成AIを本格的に活用していくための土台はできたと感じています。しかし、実際に毎日使っている社員はまだ半分程度です。今後は、今回得られた成功体験を社内でさらに情報発信し、全社員が「生成AI強者」となることを目指して、活用のレベルをさらに引き上げていきたいですね。
世代に関わらず全社員が生成AIを使いこなし、「生成AI格差」のない状態にすることが目標です。 製品やサポート、優れた人材と生産性の高いAI活用を組み合わせることで、それを当社の企業価値として外部にもアピールしていきたいと考えています。
―最後に、これからGoogle WorkspaceやGeminiの導入・活用を検討している方へ向けてメッセージをお願いします。
高坂様: 我々のように、ツールは導入したものの活用しきれていないと感じている企業にこそ、吉積情報さんのような伴走支援は有効だと思います。使い方に迷ったときにヒントをもらえるだけで、良いスタートが切れますので。
大西様:企業の規模が大きいか小さいかに関わらず、生成AIの活用は必須です 。もはやExcelやメールを使うのと同じレベルで、「当たり前」になっていかなければなりません 。
まず経営層がリーダーシップを発揮し、「難しそう」と思わずに「まずは使ってみる」という文化を醸成することが大切です。安全なGoogle Workspaceの環境であれば、安心して試すことができますから。そして、研修などを通じて、社員一人ひとりが「自分の業務でどう使えるか」を具体的にイメージできるようにサポートすることが不可欠だと思います。
私たちの社員のAIに対する意識が「脅威」から「便利なツール」へと大きく変わったように、まずは成功体験を積んでもらうことが、全社的な活用への第一歩です。AIを一部の社員だけのものにせず、全社員の「当たり前」として浸透させていく。その先に、組織全体の大きな成長があると信じています。
(左から)
宇都宮製作株式会社 代表取締役社長 / 大西 浩太郎 様、管理事業部 システムグループ 課長 / 高坂 耕一 様、吉積情報株式会社 セールスマーケティング部 / 池平 基紀
2025年11月記事作成(取材・文/吉積情報)
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