導入事例
株式会社TBSテレビ 様
情報漏えいを防ぎながら大容量ファイルを高速でやりとり
番組制作現場の生産性を抜本的に改善
株式会社TBSテレビ 様
担当者:システム局 稲川太郎氏 峯松 健太様
- 業種
- クリエイティブ(メディア・アパレル・デザイン)
- サービス
- Cmosy
- 企業規模
- 1000名以上
映像制作業界では、クラウドストレージを無制限に利用できる
「Cmosy」が話題
一般企業のクラウドサービス利用が増えており、その流れはメディア業界でも例外ではない。映像制作会社では、どのクラウドサービスで業務を効率化できるのか?まだ悩んでいる企業が多いのではないだろうか。最近の映像業界では、クラウドストレージを無制限に利用できるGoogleが提供するクラウド型グループウェア「G Suite」が話題になってきている。
G Suite は高セキュリティな「Google Cloud Platform」上での構築を特徴としているので、データの盗難や紛失の心配はまずないといっていいだろう。しかし、 Googleドライブ は簡単に共有ができてしまうので、誤操作で大量データ共有や無意識に広範囲へ公開しまう可能性は否定できない。
そこでTBSテレビとクラウドを活用したシステム開発を手がける吉積情報は、共有の仕組を Googleドライブ をベースにきちんとした手順を踏んで制限をかけられるクラウド型動画共有システム「Cmosy」を開発した。Cmosyは、Google の G Suite や Google Cloud Platform のテクノロジーをフル活用したサービスで、空き容量の心配不要の無制限ストレージや堅牢なクラウド基盤の高度なセキュリティを特徴といている。TBSテレビ自体でも、Cmosyをポストプロダクションの部門を中心に導入されており、番組制作に活用中だ。TBSテレビの稲川太郎氏と峯松健太氏にその効果について聞いてみた。
その1:社内外でセキュアに動画をやり取りすることが可能
稲川氏と峯松氏は、Cmosyの特徴を5つ挙げた。1つ目の特徴は、社内外でセキュアに動画のやり取りが可能なことだ。
TBSテレビでは長年にわたり、制作担当者がさまざまなタイミングで映像を複製したDVDを何人にも関係者に配布して、オンエア素材のプレビューのチェックを行ってきた。しかし、その手間のかかるやり取りに頭を悩ませていたという。
稲川氏:大容量ファイルのやり取りは、無料で大容量ファイル転送ができるオンラインストレージを使う人がいました。しかし、使い勝手が悪かったり、承認されないWebサービスを利用するシャドーITなどのセキュリティ上のリスクも問題となっていました。 本来ならば、プレビューのチェックに関係者が編集室に全員集まれればいいのですが、多忙で無理な場合はADがハードディスクやDVDに焼いて走って渡しに行っていました。今どきYouTubeなど普通にオンライン動画試聴が一般的なのに、なぜプレビューのためにDVDを何十枚も焼いて配らなければいけないのか?クラウド上にファイルを置いて、動画ファイルをプレビューしてチェックしてもらう仕組みはできないのか?不思議で仕方がありませんでした。DVDを何十枚と焼いて配ることによる情報漏えいの可能性も問題となっていました。
このような課題解決のために、TBSテレビではクラウドを利用して簡単に動画プレビューできる開発プロジェクトを開始。TBSテレビと吉積情報の共同開発によるファイル共有システム「Cmosy」を開発し、安全に社外とプレビューやファイルの受け渡しを実現している。例えば、外部の協力会社のスタッフとのファイルを安全にやり取りするために、G Suite のIDとCmosyが必要。2段階の鍵付セキュリティになっている。
また、放送業界の場合は、「社内に共有したい」「グループ会社と共有したい」「スポットでたまにしかやらない人と共有したい」「一回だけ見せたい」という多数の共有機能が必要になる。しかし、 Googleドライブ だけでもアップロードしたものを共有できるが、共有する方法の種類は微妙に少ない。外部に対しても、全員同じ権限で共有することは、あまり望ましくないだろう。
Cmosyには、大容量ファイルを渡す「ファイル便」、更新権も与える「共有便」、閲覧権限を付与したものだけ観られる「公開便」のサービスがあり、他のWebサービスを使う必要をなくしている。また、そのファイル便や共有便、公開便で微妙に共有権限が異なっており、相手に応じて共有方法を変更することができる。例えば、ユーザ・グループ単位で編集者、閲覧者権限を設定することも可能だという。
峯松氏:収録した.MOVなど動画ファイルのやり取りは「ファイル便」です。クラウド上に上げて、相手はダウンロードして編集をする際に使われます。また、オンエアの完パケなどのお届けにも使われます。Gmailの認証の強制や有効期限設定、DL回数制限などを設けることが可能です。
ファイル便は、大容量ファイルを送ることが可能で、数十GBを超えるような動画ファイルを誰かに送りたい場合や納品した場合に使います。例えば、最近では海外に番組を販売することがありまして、これまでは国際宅配便でハードディスクを郵送してファイルを届けていました。しかし、衝撃による故障の心配やハードディスクの返却も面倒でした。ファイル便は、そのような問題を解決することができます。
「仕事便」には、サンプルみたいな透かしを設定できるウォーターマーク機能がありまして、海外に番組を販売する際には、再販できないように加工してお送りすることもできます。
稲川氏:Cmosyの中でも、台本などの共有などで高い頻度で使われているのが「共有便」です。作った台本をチェックして、コメントを入れたり直すこともできます。共有便は、Gmailユーザーとの外部共有が可能で、編集したい時に招待して、一緒に編集することが可能です。共有する際に、有効期限設定が可能です。
「公開便」は、わざわざダウンロードしなくてもブラウザ上でプレビューできる機能です。有効期限設定やパスワード設定機能がありまして、いろんな人と安全に共有することができます。公開便はさまざまな端末で観られるのもメリットです。OSや端末を選ばずにWindowsやMac、スマホ、タブレットでもプレビューすることができますので、外出先でも確認が可能です。
チェックしたものはオンエアの後は見ることはありませんので、共有期限はだいたい2~3日に設定します。期限で自動的に消えることにより、後から別の用途で使われたりするリスクを防ぐことができます。
その2:定額料金でストレージを容量無制限に利用可能
Cmosyの2つ目の特徴は、G Suite Businessプランで完全容量無制限なストレージが利用できることだという。ストレージ容量無制限のクラウドサービスは、G Suite 以外にも存在するが、多くはパーソナルユース向けサービスで管理機能が搭載されていない。 Googleドライブ は定額で大容量のファイルを日常的に取り扱えるため、急激なコスト増加の心配がないのは大きな特徴だという。
峯松氏:Cmosyは、クラウドストレージ容量に制限のない G Suite Businessの Googleドライブ を使用できます。これまでのクラウドサービスは、従量課金がほとんどでしたが、G Suite Businessの Googleドライブ は容量が定額無制限のため、ファイル容量を気にする必要はありません。
例えばドラマ撮影の場合は、1つのシーンの撮影の尺は約10分で、ファイル容量は10GB、30GBなどになります。1TBまではいきませんが、こういった大容量ファイルを制限なく使えます。社内で使っている Googleドライブ の総容量は現在約600TBで、1日に約1TBずつ増えています。そういった容量をG Suite Businessプランの Googleドライブ ならば日常的に扱うことができます。
その3:ストレスのないインターフェイスで、全員の作業をクラウドに一元化
Cmosyの3つ目の特徴として、快適なインターフェイスを挙げた。G Suite 自体の話になるが、これまでの一般的な旧来の共有サービスは、社内でサーバを導入して、その中でシステムを構築して実現することが多かった。その場合、サーバーのマシンスペックによって、大勢の人が同時にアクセスすると重くなってしまうことがあった。
しかし、Cmosyは、Google Cloud Platform というGoogle検索や YouTube と同一のクラウド上にすべて構築されており、ストレスのないユーザビリティを実現している。多数の人が同時アクセスしてもサーバーダウン、アクセス遅延のリスクは皆無に等しく、ストレスのないレスポンスを実現している。
峯松氏:Cmosyの動作は軽快で、ユーザーインターフェイスにストレスを感じることはありません。最近のクラウドのネットワークはだいぶ早くなりましたが、3~4年前の一般的なクラウドサービスは、今よりもレスポンスは遅かったです。しかしその当時からCmosyはきちんと快適に動作していました。放送局の人はどうしても急いでいる人が多いので、Cmosyのような軽快な動作が理想的です。
また、クラウド化を実現しても制作の人によっては「直接、ハードディスクを直接現場に手でもっていったほうが早い」と言ってクラウド一括管理の足並みが乱れる場合もあります。しかし、アップのスピードが早かったりインターフェイスにストレスがないと、常に「Cmosyでやり取りをしたほうがいい」という意識が定着し、全員の作業がクラウドに一元化できるようになります。足並みを揃える意味でも、ストレスがないサービスというのは重要な要素だと考えています。
その4:メンバー内の情報共有がスムーズになるグループ機能
Cmosyの4つ目の特徴は、強力なグループ管理機能だ。Cmosyでは、番組やプロジェクトチームごとにグループの設定が可能で、TBSテレビではグループの機能を使って、番組のグループ、プロジェクトごとのグループを組んで管理している。もちろん、Google自体でもグループの設定ができるが、Cmosyでもその設定を引き継ぐことが可能だ。
稲川氏:例えば、日常的に宛先を追加してファイル共有をしますが、宛先のところに一人一人設定するのは大変な作業です。しかし、ある30人を1つのグループとして設定することで、そのグループのメンバー30人といっぺんにやり取りすることができます。グループは、一度作ってしまえば楽です。本機能ですが、当たり前のようにCmosyに入っています。これも大事なことです。
「プロデューサーグループ」や「編集グループ」など、部署や1つの番組の中でもいくつもグループができます。現在、社内で設定されたグループの数は1,000を超えています。グループは利用者が勝手に作ることはできません。きちんと、グループ作成の申請が必要なのですが、これだけのグループができているというのは凄いことです。
峯松氏:G Suite だけでは、何もかもがすべて個人管理になります。もし、その人が辞めてしまった後、どうするの?その人が部署を変わったり、番組担当変わったりしたらどうなるの?など、そういう問題があります。Cmosyでは、Cmosy上で管理されるので、人が異動しても大丈夫です。
その5:コミュニケーションの円滑化
最後に挙げたCmosyの特徴は、コミュニケーションの円滑化だ。Cmosyを導入することによって、情報をスムースに共有ができる。コミュニケーションが円滑に測れる。ムダを取り除いて、仕事が早くなったと言う。
峯松氏:Cmosyを導入したメリットは、すべて素材がクラウド上にある状態になり、素材や資料を誰が持っていて、それが今どうなっているのか?わからないことがほぼなくなりました。
今までのキャッチボールというのも悪くないのですけれども、ボールがどこにあって誰がキャッチボールをしているのか、わからないことがありました。クラウドの状態を例えるならば、みんなの前に餅があって突付いている。「餅つき」という表現をするのですけれども、全体の状況が理解できるようになりました。
稲川氏:Cmosyの導入で全体の作業スピードは早くなりました。その分、早く帰るのではなくて、できた時間でもっと高い完成度を追求しています。
Cmosyがなかったら、外部と安全なやり取りができません。G Suite を持っている外部会社とCmosyがあれば安全にファイル共有ができます。Cmosyは、現場ではなくてはならないツールだと思っています。
(掲載元:PRONEWS)
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