導入事例
HIGUCHI GROUP
AI Drivenと踏み出すGemini活用「はじめの一歩」から全社的な変革の道へ

HIGUCHI GROUP
(左から)吉積情報株式会社 カスタマーサクセス部 アシスタントマネージャー 谷川 歩美 / 吉積情報株式会社 カスタマーサクセス部 ジェネラルマネージャー 阪口 優美 / HIGUCHI GROUP 情報開発部 楠本剛史 氏
- 業種
- サービス・販売・外食
- サービス
- Google Workspace with Gemini、AI Driven
- 企業規模
- 1000名以上
1950年の創業より「大衆に憩いと安らぎを」を経営理念に掲げ、九州全7県で飲食、ホテル、アミューズメント、エンターテインメント、森林事業、不動産、総合建築といった多岐にわたる事業を展開するHIGUCHI GROUP。つながる全ての人々を豊かにし、社会の発展への貢献と100年企業を目指す同社は今、生成AI「Gemini」の全社的な活用推進という大きな一歩を踏み出しています。
今回は、情報開発部 楠本剛史様、西松直也様、広報部 佐久間恵子様、飲食営業部 赤瀬由衣様、財務部 近藤佳裕様にお話を伺いました。
全社共通の課題:AI活用のイメージと実践のギャップ
(左から)HIGUCHI GROUP 飲食営業部 / 赤瀬由衣 氏、HIGUCHI GROUP 財務部 / 近藤 佳裕 氏
生成AIという言葉は多くの社員が知っていましたが、具体的に何ができて、どう自分の業務に活かせるのか、そのイメージを掴みきれていないのが実情でした。過去にもAIに関するセミナーなどを実施したものの、具体的な活用方法が分からない、どこまで情報を入力してよいのか、あるいは的確な指示の出し方が分からないといった不安感が、積極的な利用を阻害していました。
また、日常業務の多忙さも、新たなツール導入の障壁となっていました。まさに『木こりのジレンマ』です。目の前の業務に追われ、新しい斧(ツール)を研ぐ時間的、精神的な余裕がない、という状況は多くの部署で見られました。さらに、部署間での情報共有が十分でなく、他部署でのAI活用事例やノウハウが伝わりにくいという課題も抱えていました。「このままではいけない」という漠然とした危機感を持ちつつも、具体的な一歩を踏み出せずにいたのです。
Gemini導入の決め手と吉積情報「AI Driven」選定の理由:追い風と確信
HIGUCHI GROUP 情報開発部 / 楠本剛史 氏
世の中全体が、業務効率化はもちろんのこと、仕事の質や提供価値そのものを向上させなければならない、という流れになっていました。生成AIは、その強力な手段として急速に注目を集める中、Google WorkspaceにGeminiが標準搭載されるというニュースが舞い込んできたのです。まさに「この波に乗らない手はない」と感じました。
普段利用しているGoogle WorkspaceでGeminiが使えるようになることは、コスト面でのハードルを一気に下げ、生成AI活用推進へのさらなる追い風となりました。
「Gemini」と「AI Driven」を選んだ理由とは
HIGUCHI GROUP 情報開発部 / 西松 直也 氏
GeminiはGoogle Workspaceとのシームレスな連携を最大限に活かせるという点が大きかったですね。社員が日常的に使っているツール上でAIが動くというのは、導入・普及において非常に重要だと考えました。
また、吉積情報の「AI Driven」が提供する「はじめの一歩」を重視した支援体制も魅力でした。AI活用と言っても、何から手をつけていいか分からない社員も少なくありませんでした。基礎から丁寧に教えてもらえるトレーニングや、導入初期の不安を解消してくれるサポート体制は全社展開を目指す上で不可欠だと感じたのです。
自社だけでこれだけの研修や調査を実施するのは大きな負担ですが、専門的な知見を持つ吉積情報にお願いすることで、スムーズかつ効果的に進められると確信しました。
全社的なAI活用の土壌を育む「AI Driven」
HIGUCHI GROUP 広報部 / 佐久間 恵子 氏
実施された生成AIに対する意識調査アンケートでは、予想を上回る回答数が集まり、社員の潜在的な興味関心の高さが明らかになりました。一方で、「どこまで情報を入力して良いのか分からない」「的確な指示の出し方が難しい」といった具体的な不安や疑問点が浮き彫りになり、これらがAI活用の大きな障壁となっている実態を把握できたことは、その後の具体的な計画策定に役立ちました。
「はじめの一歩」を支えるトレーニングと情報共有
HIGUCHI GROUP 情報開発部 / 西松 直也 氏
アンケート結果を踏まえ、AIの基礎知識、Geminiの具体的な機能や操作方法、そして効果的なプロンプトの考え方などを学ぶ基礎トレーニングが実施されました。この基礎研修が、まさに社員にとっての「はじめの一歩」となりました。ここで得た知識や成功体験が、その後の自発的な活用や社内での情報共有の土台になったと感じています。
AI Drivenの支援は、一過性のイベントで終わるのではなく、着実にステップを踏んでAI活用レベルを積み上げていく、まさに「次の一歩」を示してくれるものでした。
【部門別】Gemini導入前に抱えていた具体的な課題と導入後の活用効果
Geminiの導入・活用で、どのような変化があったのか。部門別の課題や成果を具体的にご紹介します。
部門名 |
Gemini導入前の主な「課題」 |
Gemini導入による主な「成果」 |
財務部 |
・議事録作成に長時間かかり、主要業務を圧迫していた ・会議内容の深堀りや質的向上につながる作業時間が不足していた。 |
・議事録作成の効率化と質の向上が実現し、本質的な業務へ注力できるようになった。 ・会議の内容に集中できるようになり、会議自体の質が高まった。 |
広報部 |
・文章校正やリライトに多くの時間を費やし、創造的業務が圧迫されていた。 ・表現方法が定型化し、コンテンツの訴求力向上や新たなアイデア発想が停滞していた。 |
・文章作業時間が大幅に短縮され(例:3日→1日)、企画など創造的な業務の時間が増えた。 ・表現のバリエーションが増加し、コンテンツ全体の質が向上した。 |
飲食営業部 |
・試食レポートなどの文章スキルが属人的で、他者の優れた文章から学ぶ必要があった。 ・文章表現力と時間効率の向上が課題だった。 |
・料理の特徴や感想をGeminiに入力し指示するだけで、魅力的な文章作成が自動化され、短時間でレポートが作成可能になった。 ・文章作成スキルが標準化され、誰でも容易に質の高いレポートが作成できるようになった。 |
情報開発部 |
・アプリケーション開発に長期間を要していた。 ・初期プロトタイプ提示に時間を要し、開発スピードに課題があった ・開発サイクルの長さが、顧客の期待に応える上での制約となっていた |
・開発期間が飛躍的に短縮され(例:ソフト開発1ヶ月→1週間、プロトタイプ提示1週間→2時間)、開発効率が大幅に向上した。 ・開発スピードの向上により、より高度な要求に応えられるように。 ・仕様書からのコード自動生成が可能になったことで、業務効率向上につながった。 |
社長室 |
・重要会議の議事録作成に時間と手間を要し、担当社員の業務負荷が増加していた ・議事録完成まで時間を要することで、経営層への迅速な情報把握に課題があった |
・議事録作成時間が大幅に短縮され(例:3日→2時間)、社員は本来注力すべき他の重要業務に時間を活用できるようになった。 ・経営層は迅速に会議内容を把握し、次の意思決定へとスムーズに移行できるようになった。 |
「AI Driven」による支援と社員の積極的な取り組みにより、各部門でGeminiを活用した具体的な成果が生まれています。
導入後の全社的な変化と手応え「自分の業務でもこのように使えるかもしれない」
HIGUCHI GROUP 情報開発部 / 楠本剛史 氏
「AI Driven」の初期段階で実施されたアンケートで明らかになったように、社員のAIに対する潜在的な興味関心は非常に高いものでした。具体的な活用事例が部署を超えて共有されることで、「自分の業務でもこのように使えるかもしれない」という気づきが連鎖的に生まれています。
Geminiによってある業務の効率が向上すると、その業務を依頼する側の心理的なハードルも下がります。以前は頼みにくかった作業も、今は気軽に依頼できるようになり、部署間のコミュニケーションが円滑になった面もあります。まさにWin-Winの関係が生まれています。また、個々の担当者だけで課題を抱え込まず、情報システム部門などに相談することで解決の糸口が見つかるケースも増えており、組織全体の課題解決力向上に繋がっています。
最近では、知識の集積と共有のプラットフォームとして「NotebookLM」の活用も進んでいます。異動や退職による担当者変更の際にも、業務知識やノウハウが属人化することなく、スムーズに引き継げる体制を構築しつつあり、これは組織にとって非常に大きな財産となりました。
全社的なAI活用文化の定着に向けて
HIGUCHI GROUP 広報部 / 佐久間 恵子 氏
全社的に見ると、まだGeminiを十分に活用できていない部署や社員がいるのも事実です。一部の部署では研修への参加率が低く、活用が進んでいませんでしたが、Geminiを使いこなす他部門の社員が異動してきたことをきっかけに、その部署でも資料作成やメール要約などでGeminiが活用され始めるという変化が見られました。
やはり、「使っている人が身近にいる」という環境が、活用の裾野を広げる上で非常に重要だと再認識しました。今後は、こうした成功事例を横展開し、部署内や社員間での活用度合いの差を埋め、全体の底上げを図っていきたいですね。
「木こりのジレンマ」に陥らせない!成果の可視化とさらなる活用深化
HIGUCHI GROUPのオフィス
「Geminiをこう活用したことでお客様に喜んでいただけた」「売上がこれだけ上がった」といった、インパクトのある成功事例を創出し、全社で共有することが、AI活用のモチベーションをさらに高める鍵になると考えています。
現状、「AIで色々なことができるのは分かっているけれど、具体的に自分の業務でどうすればいいのか分からない」と感じている社員も少なくありません。具体的な活用のためのニーズに応えられるような、より踏み込んだ活用推進が必要だと思います。
そのためにも、「木こりのジレンマ*」に陥らせないよう、研修や事例共有といった「AIについて考える場」「AIに触れる場」を継続的に提供していくのが良いのかもしれません。
*木こりのジレンマ:目の前の作業に追われ、より効率的かつ長期的にみてより良い成果をだすための手段(斧を研ぐなど)を講じる余裕がなく、結果的に非効率な状態が続いてしまうことのたとえ。
Geminiや導入・活用支援サービスを検討する企業へのメッセージ
HIGUCHI GROUP 飲食営業部 / 赤瀬由衣 氏
もし、生成AIを「使うか、使わないか」で迷っているのであれば、私たちは「まず一歩を踏み出すこと」をおすすめします。特に、既にGoogle Workspaceを導入している企業であれば、Geminiとの親和性は非常に高く、導入のハードルは低いでしょう。また、標準搭載されているため追加コストを抑えられ、全社展開しやすいというメリットも大きいです。
日常のデスクワークにおける、メール作成や情報収集といった「ちょっとした作業」でも、Geminiは確実に業務の助けになります。
「AI Driven」のようなサービスは、自社だけでAI導入や研修を進める負担を大幅に軽減してくれますし、何より専門的な知見と客観的な視点からの的確なアドバイスを得られる点で有益だと感じます。
こんな場面でも活用できます!
Geminiの活用は日常業務の細やかな場面にも及んでいます。例えば、以前はスプレッドシートに注文個数を手入力し、集計していた社内のお弁当手配も、Geminiとスプレッドシートを連携させ、改善のアイディアを相談したり関連機能を活用したりすることで、このように集計が一覧性が向上し、よりスムーズに管理できる形へと進化しました!
Gemini活用前:手入力で管理していた頃の発注書。個数やメニューの入力誤りが生じやすい状況でした。
Gemini活用後:入力画面をWebアプリ化することができ、カテゴリの折り畳みなどを利用して必要な情報のみを表示できるようになりました。
Gemini活用後:伝票にも不要な情報を記載しないため、品目などの見間違いがおこりにくく、受注ミスも減らすことができました。
吉積情報より
この度のGemini導入と弊社の「AI Driven」プログラムが、HIGUCHI GROUP様の未来に向けたDXを加速させ、全社的な業務革新を支援する一助となりましたことを、大変嬉しく思います。
お話を伺う中で、Gemini活用の具体的なエピソードや、各部門での目覚ましい成果、そして「NotebookLM」の活用といった今後の展望に至るまで、貴重なお話を多数お聞かせいただき、大変有意義な時間となりました。
今後も、お困りごとや新たなご要望などがございましたら、お気軽にご相談いただければ幸いです。
今後とも末永いお付き合いをよろしくお願いいたします。
(左から)吉積情報株式会社 カスタマーサクセス部 アシスタントマネージャー 谷川 歩美 / HIGUCHI GROUP 情報開発部 楠本剛史 氏
2025年5月記事作成(取材・文/吉積情報)
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