Geminiが社内ナレッジを直接参照可能に
Googleは2026年1月27日、Google Workspace Updates公式ブログにて以下の発表を行いました。
(日本語訳)
本日より、WorkspaceユーザーはNotebookLMのノートブックをGeminiアプリのソースとして追加できるようになりました。これにより、ノートブック内のソースに基づいた、より深く、より適切な回答を提供できるようになります。この機能はすでに一般ユーザー向けに提供されており、この度、あらゆる年齢層のEnterpriseおよびEducationユーザーにもご利用いただけるようになりました。
- 主な変更点
- Geminiアプリのプロンプト入力欄にある「+」ボタンから、自分のNotebookLM内のノートブックを選択し、ソースとして追加できるようになりました。
- NotebookLMで整理した膨大な資料(PDFやGoogleドキュメント等)に基づいた、より正確で根拠(ソース)の明確な回答をGeminiから得られます。
- ノートブックの内容をもとに、Geminiの拡張機能(キャンバス、Deep Researchなど)を活用したコンテンツ作成が可能です。
- 対象法人プラン
- すべてのGoogle Workspaceエディション
これにより、社内の膨大なPDFやマニュアルをNotebookLMにアップロードしておけば、Geminiの高度な推論能力を使って、その資料に基づいたメール作成や企画立案がワンストップで行えるようになりました。
参考資料:Google公式ブログ
https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/01/take-notebooks-further-notebooklm-gemini.html
Geminiの参照元としてNotebookLMを活用する技術的メリット
Geminiアプリにファイルを直接添付する方法に比べ、NotebookLMを情報源として指定する運用には実務上の優位性が三つあります。
グラウンディングによる回答精度の向上
生成AIが事実とは異なる内容をもっともらしく答えてしまう現象を抑えるには、回答の根拠を特定の情報源に縛るグラウンディングが欠かせません。
NotebookLMをソースに選ぶと、Geminiはノートブック内の情報だけに基づいた回答を優先して生成します。その結果、社内規定や独自のナレッジから外れることのない、信頼できるアウトプットを得られます。
複数の資料を横断して読み解く構造化と分析の能力
単一のドキュメントを読み込ませる場合と異なり、NotebookLMはノートブックに保存された全資料をあらかじめ整理しています。
NotebookLMを介すことで、複数の資料を繋ぎ合わせて組織全体の知識を面として捉えた回答が可能になるのです。過去数年分のプロジェクト報告書すべてから共通する成功要因を抽出するといった、高度な横断分析で真価を発揮します。
大規模ドキュメントへの対応と検索性の確保
Geminiのコンテキストウィンドウ(一度に処理できる情報量)は非常に大きいものの、膨大な資料を直接プロンプトに流し込むと、処理に時間がかかったり特定の記述を見落としたりする懸念が生じます。
NotebookLMを仲介役とすることで、必要な箇所を瞬時に特定した上で、Geminiが思考や推論を行うプロセスを効率化できます。これにより、数千ページに及ぶマニュアル群であっても、迅速かつ的確に参照できるようになります。
社内マニュアル15ファイルをGeminiに読み込ませてみた
ここで筆者は実際のビジネス環境でこの連携機能がどこまで通用するか、自社の環境で検証しました。
検証シナリオ
過去3年分の社内セキュリティ規定と新人研修マニュアル計15ファイルをNotebookLMにアップロードし、ナレッジベースを作成します。これに対し、新入社員からのパスワード変更手順に関する問い合わせへの返信文案をGeminiに作成させました。その際、規定第3条にある有効期限についても触れ、優しいトーンで書くよう指示を出しています。
操作手順
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NotebookLM
事前にファイルをアップロードし、「社内規定ナレッジ」というノートブックを作成する。
- Gemini
チャット画面の「+(添付)」アイコンから「NotebookLM」を選択し、上記ノートブックを指定する。
- プロンプト入力
新入社員からのパスワード変更依頼に関する問い合わせメールに対し、添付の社内規定に基づき、優しいトーンでの返信メールを作成してください。注意点として、規定第3条の「有効期限」についても触れること。
検証結果
Geminiは、NotebookLMがインデックス化した情報を正確に引き出し、プロンプト入力からわずか数秒でメール文案を完成させました。Gemini単体では社内固有のルールに対して不正確な情報を生成してしまう懸念(ハルシネーションの懸念)がありましたが、NotebookLMをソースに固定することで、回答の根拠を限定(グラウンディング)し、精度を大幅に高めることが可能です。また、「新入社員から」、「優しいトーン」といった曖昧な指示に対しても、最新の言語モデルが適切に意図を汲み取り、アウトプットに反映しました。
法人利用における「データセキュリティ」の安全性
機密性の高いデータをAIに読み込ませる際、最も懸念されるのがセキュリティです。Googleはこれに対し、Google Workspaceの法人プランにおいてユーザーが入力したデータやアップロードしたファイルがAIモデルのトレーニングに使用されることはないと明言しています。
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Google Workspace with Gemini でビジネスデータの機密性、セキュリティ、コンプライアンスを保つ
機密
"お客様のデータは、人間によってレビューされることも、許可なくお客様のドメイン外で生成 AI モデルのトレーニングに使用されることもありません。"
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参考資料:Google公式ページ
https://workspace.google.com/intl/ja/security/ai-privacy/
つまり、お客様のデータがドメイン外で無断利用されたり、人間によってレビューされたりすることはありません。外部漏洩や他社のAI回答に流用される心配はなく、社内資料を用いた高度な分析やドキュメント作成を、セキュアな環境で進めることが可能です。
明日から使える!NotebookLMとGemini連携活用事例3選
NotebookLMとGeminiの連携は、情報探索の時間を削り、人間がより本質的な業務に集中することを可能にします。
ここでは、明日からすぐに実践できる、部門別の具体的な活用シナリオを3つご紹介します。
営業部門
過去の提案書から「勝ちパターン」を抽出
人事・総務部門
社内FAQの自動生成
- NotebookLM:就業規則や福利厚生のガイドブックをアップロード。
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Geminiでのプロンプト:
来月の社員総会で配布する「よくある質問集」を作りたいです。特に「育児休暇」と「リモートワーク手当」に関して、規定に基づいたQ&Aを5パターン作成してください。
開発部門
仕様書に基づいたテストケース作成
- NotebookLM:要件定義書や設計書をアップロード。
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Geminiでのプロンプト:
この設計書の「会員登録機能」における異常系のテストケースを網羅的にリストアップし、表形式で出力してください。
NotebookLMは「個人のノート」から「組織のナレッジ基盤」へ
2026年のアップデートにより、NotebookLMは個人のリサーチツールから、組織のナレッジをGeminiという頭脳で動かすための共有データベースへと進化しました。
資料を探すだけの時間は終わりです。これからは、資料をAIに「読ませて」、人間は「どう活用するか」という意思決定に集中する時代です。
まだ社内で活用が進んでいない場合、まずは部署単位でのスモールスタートをおすすめします。
吉積情報では、Google Workspaceの導入支援にくわえて、組織の文化に合わせたプログラム内製化を可能にするGemini導入支援「AI Driven」を実施し、お客様のDXをサポートしております。「自社に最適なGeminiの活用方法を知りたい」とお考えの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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