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森田 嶺

Antigravity 2.0・IDE・CLIの違いを整理してみた

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「Antigravity」は、元々IDEに統合されたエージェントマネージャーでしたが、Antigravity 2.0の登場によって、単なるAI搭載の開発支援ツールではなく、エージェント型開発プラットフォームとして生まれ変わりました。Antigravity 2.0では、AIエージェントが開発タスクを実行し、その進捗を管理し、必要に応じて複数の作業を並行して進めるという方向に進化しています。

一方で、Antigravityには「Antigravity 2.0」「Antigravity IDE」「Antigravity CLI」といった複数の名前が出てくるため、少しわかりにくいとも感じています。

この記事では、それぞれの違いを整理しながら、どのように使い分ければよいのかを解説します。

Antigravity 2.0とは何か?

Antigravity 2.0は、Googleが提供するエージェントファーストの開発プラットフォームです。Antigravity 2.0はAIエージェントの「セントラル・コマンドセンター」として機能し、アクティビティの起動、モニタリング、オーケストレーションを行う役割を担っています。

もう少し抽象度を上げて分かりやすく説明すると、開発者は自分でコードを書きながらAIに手伝ってもらうだけでなく、AIエージェントに作業を依頼し、その進み具合を確認・管理できるようになったと捉えていただけると良いかもしれません。

たとえば、AIエージェントに調査やコード修正などの作業を任せ、開発者はその結果を確認しながら開発を進めることができます。つまりAntigravity 2.0は、AIエージェントに仕事を依頼し、進行状況を管理するための「司令塔」のようなツールです。

複数のOSに対応

これまでのIDEに統合されたAntigravityが「人間が作業する場所」だとすると、Antigravity 2.0は「AIエージェントに作業を依頼し、その進行状況を管理する場所」です。たとえば、複数のローカルエージェントを並行して管理したり、プロジェクトごとに権限や設定を分けたり、エージェントに作業を任せながら結果を確認したりできます。基本的なOSには全て対応しており、具体的にはmacOS、Linux、Windows向けのスタンドアロンアプリケーションが提供されています。

参考1. MacOS向けのスタンドアロンアプリ

Antigravity 2.0の強みは、Googleエコシステムとの親和性

Antigravity 2.0の強みは、Googleのエコシステムとの親和性です。今回のアップデートは、Google Cloudだけでなく、Google Workspaceも含めた、Googleエコシステムとの統合への布石だと考えています。今後は以下を強みとしたアップデートが進んでいくことが考えられます。

  • Google AI Studioとの連携
  • Google Cloud開発との相性
  • Google Workspaceやエンタープライズ領域への拡張
  • Antigravity CLI / IDE / SDKを含めた統合的なエージェント基盤

Antigravity IDEとは何か?

Antigravity IDEは、AIエージェント機能を備えた開発環境です。簡単に言うと、CursorやVS Codeのようなコードエディタに、AIエージェント機能が組み込まれたものです。開発者はAntigravity IDE上でコードを開き、AIに対して次のような依頼ができます。

「このエラーを直して」
「この機能を追加して」
「このコードをリファクタリングして」
「テストコードを作って」
「このプロジェクトの構造を理解して説明して」

通常のコード補完ツールと違うのは、AIが単にコードを一部提案するだけではなく、エディタ、ターミナル、ブラウザなどを使いながら、実装・修正・検証まで進められるところです。Antigravityを使えば、自律型エージェントが計画、コーディング、Web閲覧まで網羅的に作業してくれます。

複数のモデルに対応

Antigravity IDEでは、Gemini(3.1 Pro / 3.5 Flash)だけでなく、Claude Sonnet/OputやGPT-OSSも利用可能なモデルに含まれています。私は基本的にはClaudeを使うことが多いですが、Gemini 3.5 Flashが公開されてからは、コード生成が高速化されたと感じており、最近はFlashを利用するケースが増えています。

参考2. Antigravityで利用可能なモデル一覧

Antigravity CLIとは何か?

Antigravity CLIは、ターミナルからAIエージェントを操作するためのコマンドラインツールです。Antigravity CLIは、Gemini CLIからの後継ツールという位置付けで、Googleは今後のマルチエージェント時代に向けて、Antigravityにプロジェクトを統合すると宣言しています。

Antigravity CLIの特徴は、なんと言ってもターミナルから操作できるところです。普段からCLIでGit操作、ビルド、テスト、デプロイを行っている開発者にとっては、わざわざ画面を切り替えずに、ターミナルからAIエージェントに作業を依頼できるのは大きなメリットです。GoogleはAntigravity CLIはそれ以外にも以下のような特徴があります。

  • Goで構築されているため高速で応答性が高い
  • 複数のエージェントを使った非同期ワークフローに対応している
  • Antigravity 2.0と同じエージェントハーネスを共有している

非同期ワークフロー

特に重要なのが、非同期ワークフローです。たとえば、大規模なリファクタリングや複数テーマの調査をAIエージェントに依頼した場合でも、ターミナルを占有せずにバックグラウンドで処理を進められます。Antigravity CLIは単なるチャット型CLIではなく、エージェント型CLIとして設計されています。

3つの違いを整理する

それぞれの違いをシンプルに整理すると、次のようになります。

種類

役割

ターゲット

Antigravity 2.0

エージェントを管理する中核アプリ

複数タスクをAIに任せたい人

Antigravity IDE

コードを書きながらAIと作業する開発環境

エディタ中心で開発したい人

Antigravity CLI

ターミナルからAIエージェントを操作するツール

CLI中心で開発したい人

役割は明確に異なる

Antigravity 2.0は「司令塔」、Antigravity IDEは「作業場」、Antigravity CLIは「コマンド実行窓口」と考えるとわかりやすいかもしれません。開発者がコードを見ながら細かく指示したい場合はIDEが便利です。一方で、すでにやることが明確で、ターミナルから実行したい場合はCLIが向いています。そして、複数のエージェントやプロジェクトを管理したい場合はAntigravity 2.0のスタンドアロンアプリが中心になります。

どこから始めれば良いのか?

直感的に使いやすいのは、Antigravity IDEだと思います。と言うのは、従来の開発スタイルに近い形で始められるからです。コードを見ながらAIに質問できるため、AIエージェントの動きも理解しやすく、既存の開発ワークフローにも組み込みやすいです。一方で、開発に慣れていて、ターミナルでの作業が多い人はAntigravity CLIが適していると思います。特に、CI/CD、スクリプト実行、コードベース調査、リファクタリング、クラウド環境の構築支援など、コマンドベースで進めたい作業には相性がよさそうです。

AIエージェントに複数のタスクを任せる運用を本格的に考えるなら、Antigravity 2.0のスタンドアロンアプリが重要になります。たとえば、あるエージェントには仕様調査を依頼し、別のエージェントには実装方針の検討を依頼し、さらに別のエージェントにはテスト観点を洗い出してもらう。こうしたマルチエージェント的な使い方をする場合、単なるIDEやCLIだけではなく、全体を管理するコマンドセンターが必要になります。

Gemini CLIからAntigravity CLIに移行する場合の注意点

Gemini CLIは今後Antigravity CLIに統合されることが発表されています。Gemini CLIおよびGemini Code Assist IDE extensionsについては、個人向けの無料利用者やGoogle AI Pro/Ultra利用者向けは、2026年6月18日にリクエスト提供が停止されます。一方で、Gemini Code Assist StandardまたはEnterpriseライセンスを利用する組織や、Google Cloud経由でGemini Code Assist for GitHubを利用する組織については、アクセスは継続されます。

つまり、個人利用とエンタープライズ利用で扱いが異なる点には注意が必要です。現在Gemini CLIを使っている場合は、自分の利用形態がどちらに該当するのかを確認した上で、Antigravity CLIへの移行を検討する必要があります。

まとめ

Antigravity 2.0、Antigravity IDE、Antigravity CLIは、名前が紛らわしいですが、役割は明確に異なります。Antigravity 2.0は、AIエージェントを管理・実行するための中核アプリケーション、Antigravity IDEは、コードを見ながらAIと一緒に開発するためのエディタ型環境、Antigravity CLIは、ターミナルからAIエージェントを操作するためのコマンドラインツールです。

これまでのAI開発支援は、エディタの中でAIにコードを書いてもらう体験が中心でした。しかしAntigravity 2.0では、AIエージェントにタスクを任せ、人間はその進行を管理し、必要なところでレビューするという形に変わっていきます。

今後の開発現場では、「どのAIツールを使うか」だけでなく、「AIエージェントにどこまで任せ、どこを人間が確認するか」が重要になります。Antigravity 2.0は、その新しい開発スタイルに向けたプラットフォームだと言えます。IDEは人間とAIが並走する場所、CLIは開発者の作業導線にAIを組み込む入口、そしてAntigravity 2.0は複数のエージェントを束ねる司令官です。

この違いを理解しておくことで、Antigravityを単なるAI搭載の開発支援ツールとしてではなく、これからのエージェント型開発基盤として活用しやすくなると思います。

森田 嶺
森田 嶺
大学卒業後、 AWS や Google Cloud 等、主にクラウドを基盤とした新規サービス開発の経験を経て、YOSHIDUMIに入社。Google ドライブ拡張サービス「Cmosy Pocket」「共有ドライブマネージャー」等、 Google Cloud を活用した自社サービスの開発に従事。現在、 Google 等が提供する生成AIを活用したサービスを開発中。https://x.com/r__morita
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