森田 嶺

企業に Gemini for Google Workspace を推したい3つの理由

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Gemini for Google Workspace が2023年にリリースされてから半年以上が経ちました。米国では、数千企業、百万ユーザー以上が Gemini for Google Workspace を利用しており、日本でも、検討する企業が増えています。

弊社は Google Workspace の代理店として、 Gemini の販売も行っておりますが、実際にいくつもの商談が生まれています。また、私が所属する吉積情報株式会社やグループ会社のクラウドエースも現在 Gemini の導入を急ピッチで進めており、 Gemini を活用しようとする企業が徐々に増えつつあります。
一体なぜ企業は Gemini for Google Workspace の導入に積極的なのでしょうか。

今回は実際に Gemini の導入を進める企業の視点から、「企業に Gemini for Google Workspace の導入を推奨したい3つの理由」を解説します。

Gemini for Google Workspace とは何か

Gmail や ドキュメント等に組み込まれたAIがユーザー業務をサポート

Gemini for Google Workspace は、 Workspace を活用するユーザーの生産性をサポートするアドオンツールです。具体的には、自然言語で指示を出すことで、業務上で活用可能なアウトプットをAIが自動生成してくれます。例えば、以下参考画像の通り、「ドライブにファイルをアップロードする方法という記事を書いて」と指示を出すと、指示通りに文書を生成してくれます。

Google ドキュメントだけでなく、スプレッドシートやスライド、 Meet にも対応しており、 Workspace を基盤とした業務の生産性をさらに高めることができます。

Google Workspace のライセンス費用とは別にアドオンの購入が必要

ただし、 Gemini は Google Workspace を利用する全てのユーザーが無条件で利用できるわけではありません。 Gemini を利用するためには、別途アドオンの購入が必要になります。 Gemini には以下の通り2つのプランが用意されており、条件に応じてどちらのプランを導入するか検討する必要があります。

機能

Gemini Business

Gemini Enterprise

費用

¥2,260/user/month
(年契約)

¥3,400/user/month
(年契約)

利用回数制限

1,000回/user/month

無制限

Gemini

ドキュメント

スライド

スプレッドシート

Gmail

Meet

※他言語翻訳キャプションなし

Gemini チャットツール(旧 Bard)

Gemini チャットツール(旧 Bard)は、 Gemini for Google Workspace に含まれるサービスの一つで、このツールについては日本語化対応されていますが、その他の機能( Google ドキュメントや Meet に組み込まれた Gemini )については、現状日本語化対応されていません。

Gemini は企業が持つデータを学習しない、且つレビューしない

生成AIを導入する企業が持つ懸念点として、セキュリティ上の不安を挙げる企業は多いのではないでしょうか。しかし、それについては心配する必要はありません。 Gemini for Google Workspace ではセキュリティポリシー上で、企業のデータを学習しないこと、及びレビューしないことを明文化しています。

日本企業が生成AIの活用を求められる社会的な背景

高齢化と止まらない労働人口の減少

インドネシア国内の2023年の平均年齢は30歳を下回っているそうです。インドネシアに限らず、ASEANが昨今注目されている理由は、高い経済成長率に他なりませんが、それを実現しているのが若い労働人口です。
一方、日本の平均年齢は40を超えています。日本は出生率についても下降傾向にあり、定年を迎える労働者よりも新たに社会に進出する労働者の方が数を下回っています。これは何を意味するかというと、単純に労働者の数が減っているということです。これは、ある特定の年に発生する事象ではなく、今後も継続的に発生する事象になります。労働人口の母数が今後も下がっていく中で、事業を継続していくためには、従業員一人当たりの生産性を上げていく必要性があります。

雇用全体の70%以上を占める中小企業が抱えるジレンマ

日本は中小企業が多いと言われますが、意外にもアメリカやヨーロッパの国々も中小企業の割合が高いと言われています。他国と比較した場合に問題になっているのは、雇用に占める割合です。アメリカも中小企業の割合が99%以上というデータがありますが、雇用全体で見れば50%未満となります。
一方、日本では、中小企業庁が公開するデータによると、中小企業の従業員数は全体の70%を占めています。日本全体の生産性をあげるためには、中小企業の業務改革を推進していく必要がありますが、大企業と比較した場合、資金(時間)的にも人員的にも余裕があるわけではないため、改革を推進しづらいという側面もあります。また、中小企業の課題として、過去の実績から古い技術に固執してしまい、新たな技術やアイデアの導入が遅れてしまう傾向も指摘されています。

日本企業の生存戦略に生成AIは不可欠

これらの社会的な背景もあり、日本企業は限られたリソースの中で生産性をあげることが求められています。これまでのようなハードワークではなく、如何にスマートに生産性をあげるのかということが重要で、それこそが生成AIが注目されている理由にもなります。生成AIは、自動翻訳、コンテンツ生成、データ分析など、多岐にわたる業務を支援する技術であり、企業の競争力強化、効率化、イノベーションの推進に寄与しています。この技術が今後の日本企業の成長のキーになると考えています。

企業に Gemini for Google Workspace を推したい3つの理由

前述した通り、 Gemini for Google Workspace はグローバルでは既に活用が始まっており、 Google は Gemini を活用する企業に対して、得られた成果のフィードバックを受けています。本章では、 Gemini を実際に活用する企業が得られた成果を元に「 Gemini を推したい3つの理由」を提案します。

生産性(業務の量・質)の向上

Gemini 導入前、私たちの業務では、顧客へのメールや議事録の作成、文書の作成等々…あらゆる業務は従業員それぞれが考えながら実施していました。アウトプットされる内容には各人で差異があり、スピードも異なります。 Gemini はこれらの課題を解決してくれます。 Gemini を利用することでこれらのルーチンワークや定型業務を自動化することができ、これにより、従業員が創造的な業務や戦略的なタスクに集中できるようになります。また、AIは大量のデータを迅速に処理し、分析する能力があります。これにより、データ駆動型の意思決定が可能となり、人間では見落とす可能性のあるインサイトやパターンを発見できます。例えば、スプレッドシートでまとめられたセミナーアンケートの結果から顧客の関心を分析し、次回実施するセミナーの企画を立案することができます。 Gemini for Google Workspace は従業員一人当たりの生産性を上げるだけに留まらず、チーム・組織全体の生産性をあげるためのアイディア獲得のための支援もおこないます。

従業員エンゲージメントの向上

ドラゴンクエスト等のRPGゲームをプレイしたことがある方ならわかるかもしれないですが、主人公とそのパーティは旅の道中で、自身が持つ武具をより強いものにアップデートしていきます。新しい武器を獲得できた時の感動と、戦闘中の武器の威力により、プレイヤーはさらにモチベーションが向上します。それと同じようなことが Gemini 導入によってもたらされることもわかっています。 Google によると、 Gemini を導入することで、従業員の会社に対する満足度が向上したというフィードバックを Gemini 活用企業から得ているそうです。

イノベーション創出機会の増加

Gemini 自体がイノベーションを起こすアイディアを創出してくれるかもしれないですが、重要なのは、①②が推進されることで、従業員に時間と余裕が生まれるところです。 Gemini はあくまで人間を助けるツールであり、イノベーションを起こすのは人間自身です。 Gemini により生産性が向上し、時間が生まれ、人間自身が新たなイノベーションを作る機会を作れるようになります。 これも Gemini を導入する上でのメリットになると思います。

まとめ

会社における役割や役職によって前提が異なるので一つの基準で語ることはできないですが、私たちが普段行っている業務には何かしらのルーティンワークが含まれています。 Gemini はそういった繰り返し作業を自動化することができます。また、蓄積された Google Workspace 上のデータから新たなインサイトを得るためのアクションも可能になります。しかし、 Gemini for Google Workspace の導入がもたらす効果は、従業員の生産性向上や新たなインサイトを得るというスポット的な効果に留まりません。それは一つの側面であり、実際にAIを運用する人間自身に対する効果が大きいことが Gemini を活用する企業のフィードバックから見えてきました。

業務効率化やイノベーションを起こすのはAIではなく、AIを活用する人間自身であることが大前提であり、 Gemini は人間のポテンシャルを高めることができるツールであるという捉え方をすれば、今ある人材をどう活用するかという観点から、企業の改革を実施できる可能性があります。 Gemini の活用は「AIをどう活用するか」だけでなく、「Gemini を導入し、人材をどう活用するか」の観点が重要だと思います。

森田 嶺
森田 嶺
大学卒業後、 AWS や Google Cloud 等、主にクラウドを基盤とした新規サービス開発の経験を経て、YOSHIDUMIに入社。Google ドライブ拡張サービス「Cmosy」「共有ドライブマネージャー」等、 Google Cloud を活用した自社サービスの開発に従事。現在、 Google 等が提供する生成AIを活用したサービスを開発中。
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