「Duet AI」から「Google Workspace with Gemini」への名称および提供形態の変更
2024年2月8日、「Duet AI for Google Workspace」は「Gemini for Google Workspace」へと名称変更されました。さらに、2025年1月以降、アドオンサービスとしての提供を段階的に廃止し、Google Workspace の一部プランへの「Google Workspace with Gemini」として標準搭載が開始されました。これにより、多くのGoogle Workspaceユーザーがより利用しやすくなりました。
個人向けGemini 、Gemini for Workspace のターゲットユーザー
個人版 Gemini : 一般ユーザー、学生、趣味で AI を活用したい方など、個人での利用を想定しています。
Google Workspace with Gemini: 企業、組織、チームなど、ビジネスシーンでの活用を想定しています。

【個人向け】Gemini 無料版 vs 有料版(Google AI Pro)
まずは個人での利用を考えている方向けに、無料版と有料版の違いを解説します。
一目でわかる比較表
| 項目 |
Gemini |
Google AI Pro*(有料版) |
Google AI Ultra(有料版) |
| 月額料金 |
無料 |
2,900円 |
36,400円 |
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AIモデル
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Gemini 2.5 Flash への限定的アクセス |
Gemini 2.5 Pro への優先アクセス |
Gemini 2.5 Pro (最高アクセス)
+ Gemini 2.5 Deep Think
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Googleサービス連携
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限定的
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Gmail, ドキュメント, スプレッドシート等(個人アカウント)にAI機能が統合
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Gmail, ドキュメント, スプレッドシート等(個人アカウント)にAI機能が統合
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ストレージ容量
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15GB
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2TB
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30TB
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クリエイティブ機能
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制限付き (月100 AIクレジット)
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Veo 3.1 Fast (月1,000 AIクレジット)
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Veo 3.1 (最高アクセス)
(月25,000 AIクレジット)
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バンドル特典
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Google One プレミアム
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Google One プレミアム + YouTube Premium など
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おすすめユーザー
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・AIを試したい方 ・日常的な学校、生活のタスクに活用
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・仕事や学習で生成AIを本格活用したい方
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・高度な開発やAIによる動画制作を大量に行う専門家
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※「Gemini AI Premium」は「Google AI Pro」に名称変更されました。
個人向け無料・有料プランの概要
無料版:日常的な調べ物や簡単な文章作成なら、これで十分といえる性能です。
- チャット形式での質問応答
- テキスト生成、要約、翻訳
- コード生成、デバッグ支援
- 画像生成
- 最新情報へのアクセス (検索スニペット機能)
有料版 (Google AI Pro):Gmailでのメール要約・下書き、ドキュメントでのレポート作成など、Googleサービスと連携させて「作業時間を抜本的に削減したい」なら、投資価値は絶大です。
- 無料版Geminiの全機能に加え、より高度な機能が利用可能
- 100万トークンのコンテキストウィンドウ (最大1,500ページ分の情報を処理)
- より高度なコード生成、編集、実行機能
- 個人のGoogleアプリとの統合による、スプレッドシートのデータ分析、グラフ作成機能や、Gmailでの返信文作成や要約機能などが利用可能
最上位版 (Google AI Ultra):月額$249.99(約36,400円) というプロフェッショナル向けのプランです。
- Google AI Proの全機能に加え、最先端の推論モデル「Gemini 2.5 Deep Think」へのアクセス
- Veo 3.1による動画生成のための膨大なAIクレジット(月25,000)
- 30TBのストレージ
- YouTube Premiumなどの特典
プランの詳細・料金についてはこちらをご参照ください:https://one.google.com/intl/ja_jp/about/
関連記事:Google AI Pro(Google One AIプレミアム)ガイド!特徴・よくある質問まとめ
【法人向け】なぜ「Google Workspace with Gemini」一択なのか?
「会社のPCで個人向けの無料版を使えばコストがかからないのでは?」と考えるのは非常に危険です。ビジネスでGeminiを利用する場合、法人専用の「Google Workspace with Gemini」が必須となります。
個人版と法人版の決定的な違いは「セキュリティ」と「ガバナンス」
Google Workspace with Geminiには、エンタープライズグレードのセキュリティとプライバシーが提供されています。
そのため、ビジネス利用において、社内情報や顧客情報などの機密情報を扱う場合でも安心して利用できるのです。
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項目
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個人向け Gemini (Free / Pro)
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法人向け Google Workspace with Gemini
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データ保護
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入力データがサービス改善やAIモデルの学習に使われる可能性あり ※人間のレビューアによる確認対象となる場合がある 参考:https://support.google.com/gemini/answer/13594961?hl=ja
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入力データはAIの学習に利用されないと保証 (顧客データは組織内に留まり、許可なくレビューされない)
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法的根拠
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Google プライバシーポリシー
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Cloud Data Processing Addendum (CDPA) (Googleとの法的契約)
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アクセス管理
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個人アカウントに依存
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管理者による一元管理 (利用者や権限を組織でコントロール可能)
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データ管理
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履歴は個人のGoogleアカウントに紐づく
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企業のGoogle Workspace環境内でデータを保持 (監査ログ、データ損失防止(DLP)に対応)
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サポート
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一般ユーザー向けヘルプのみ
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法人向けの専門サポート
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ビジネスにおいて、顧客情報や社内秘の情報をAIに入力する可能性がある以上、データがどのように扱われるかは最重要課題です。法人向けプランは、企業の情報を企業の資産として守るための仕組みが整っています。
個人向けプランのプライバシー保護がGoogleの一般的な「プライバシーポリシー」に基づくのに対し、法人向けプランの保護は「Cloud Data Processing Addendum (CDPA)」 という法的拘束力のある契約に基づいています。
この契約により、Googleは顧客のデータ(プロンプトや入力された企業情報)を、AIモデルの訓練や品質改善、人間によるレビューに(顧客の許可なく)一切使用しないことを法的に保証しています 。
Google公式資料:Cloud のデータ処理に関する追加条項(お客様)
https://services.google.com/fh/files/misc/ja-cloud-data-processing-addendum-customers.pdf
法人向けプランの種類
2025年1月より、GeminiはGoogle WorkspaceのBusinessプラン(一部を除く)およびEnterpriseプランに標準搭載されました 。しかし、法人向けの最上位AIプラットフォームである「Gemini Enterprise」とは明確に区別する必要があります。
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Google Workspace 統合プラン (Business / Enterprise)
これらは、日々の業務で使う生産性スイート(Gmail, Docs, Meetなど)にAI機能が組み込まれたプランです。AIは主にGoogle Workspace内のデータ(メール、ドキュメント、ドライブ内のファイル)を活用します 。
Business Starter (月額 $7~$8.40)
- AI機能はGmailとVids(動画作成)に限定されます 。
- Docs、Sheets、Meetなど他のアプリのAI機能は利用できません 。
- Geminiアプリのコンテキストウィンドウも32,000トークンに制限されます 。
Business Standard (月額 $14~$16.80)
- 実質的なAI標準プランです。Gmail、Docs、Sheets、Slides、Meet(議事録作成)など、すべての主要アプリでAI機能が解放されます 。
- Geminiアプリのコンテキストウィンドウが100万トークンに拡大します 。
Business Plus (月額 $22~$26.40)
- AI機能はBusiness Standardと同一です 。
- AI以外の機能(ストレージ容量 2TB→5TB、Google Vaultによるデータアーカイブ)が強化されます 。
Google Workspace Enterprise (Standard / Plus) (要問い合わせ)
- Workspaceスイートの最上位プランです。Businessプランの全機能に加え、Google Vault、データ損失防止(DLP)、データリージョン管理 、高度な暗号化など、大企業向けの最高レベルのセキュリティとコンプライアンス機能が含まれます 。
- AI機能は、Business Standard/Plusで利用可能なものすべてを含みます 。
プランの詳細・料金についてはこちらをご参照ください:
Google Workspaceサービスページ
https://workspace.google.com/intl/ja/
Google ヘルプページ:Google Workspace の各エディションの比較https://support.google.com/a/answer/6043385?sjid=676078905194262247-NC&hl=ja
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Gemini Enterprise (Google Cloud Platform サービス)
これはGoogle Workspaceのプランとは根本的に異なる、独立したAIプラットフォームです 。
Google Cloud (GCP) のサービスとして提供され、単にWorkspaceアプリを強化するのではなく、カスタムAIエージェントを構築・統制することを目的としています 。
最大の特徴は、Google Workspace内のデータだけでなく、Microsoft 365、Salesforce、SAP、BigQueryといった社内のあらゆる外部データソースにAIを安全に接続(グラウンディング)できる点です 。
GCP由来の高度なガバナンス(VPC-SCや顧客管理の暗号鍵など)が適用され、全社のAI利用を一元管理したい大企業向けです 。
料金は別途「Gemini Enterprise Standard / Plus」として設定されています(参考価格: $30/ユーザー/月~)。
プランの詳細・料金についてはこちらをご参照ください:
Google Workspaceサービスページ
https://cloud.google.com/gemini-enterprise
関連記事:
ビジネスはエージェント時代へ!Google Cloud「Gemini Enterprise」徹底解説
Google Workspaceユーザー必見!「Gemini Enterprise」登場。既存のGeminiと何が違う?
法人向けプランの機能
Business Standardプラン以上では 、個人版Geminiの全機能に加え、Google Workspaceアプリとの連携機能が充実しているため、より高度な活用が可能です。
日常業務の効率化・高度化
- Gmail:長いメールスレッドの瞬時な要約、状況に応じた返信メールの自動下書き、文章のトーン(丁寧、簡潔など)の自動調整。
- Googleドキュメント:議事録や報告書などの文章の自動生成・要約・構成案作成、文章の校正と表現の改善提案。
- Googleスライド:指示内容に基づき、プレゼンテーションの構成・テキスト・画像を自動生成。デザインに合わせた画像の新規作成も可能。
- Googleスプレッドシート:複雑なデータの分類・整理・分析、関数の自動入力、グラフの自動作成、今後の傾向予測。
コミュニケーションの円滑化
- Google Meet:会議の自動議事録作成(Take notes for me) 、リアルタイムでの69言語への翻訳(字幕表示)。
- Google Chat:会話の要約、外国語メッセージの自動翻訳、文脈に合わせた返信文の作成支援。
情報活用と整理
- Googleドライブ:ドライブ内にある膨大な資料(ドキュメント、PDF、スライド等)の中から、自然な言葉で必要な情報を横断的に検索し、結果を要約して提示。
- NotebookLM:ドライブ内の資料やWebサイトなどを情報源として指定し、その情報源のみに基づいたQ&Aやアイデア出しを行うAIノート。音声ファイル(会議の録音など)の文字起こしと要約も可能。チームでの共有機能も強化。
高度な専門業務支援と自動化
- Deep Research:複数のリサーチを並行処理し、情報の信頼性を精査。バイアスを取り除き、引用元を明記した上で、整理されたドキュメントとしてアウトプットする高度な調査機能。
- Google Vids:AIによる動画制作ツール。 プロンプト(指示文)やドキュメント、スプレッドシートなどを基に、動画の脚本、ナレーション、関連するストック映像、BGMなどを自動で構成し、ビジネスビデオを素早く作成。
- Canvas:AIとの対話型クリエイティブスペース。 チャット形式のやり取りだけでなく、自由な形式でアイデアを書き出し、画像やコードを生成・編集しながら思考を整理できる。プロトタイプの作成、ブレインストーミング、コンテンツの草案作成などに活用可能。
- Workspace Flows:ノーコードのワークフロー自動化ツール。 「特定のラベルが付いたメールをトリガーに、Geminiが内容を要約し、優先度を判断。優先度が高ければ特定のChatスペースに通知する」といった定型業務を自動化できる。
Gemini の選び方: あなたのニーズに最適なサービスを
Googleが提供する生成AIサービス、Gemini。個人向けのウェブアプリ版とビジネス向けのWorkspace版があり、さらに個人版には無料プランと有料プラン があります。
それぞれのサービスは、機能や安全性、料金などが異なり、利用シーンによって最適な選択肢が変わってきます。この記事で紹介した情報を元に、どういった場合にどのサービスを選ぶべきかまとめました。
個人利用の場合
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- 無料での利用で十分 & 機密情報は扱わない
- 推奨:個人版Gemini (無料)
- 理由:日常の調べ物や趣味の文章作成には十分です。ただし、入力内容がAIの学習に利用され、人間にレビューされる可能性があるため 、機密情報の入力は避けるべきです。
- ヒント:機密性を一時的に確保したい場合は、チャット履歴が残らず、AIの学習にも使用されない「一時チャット」機能の利用が推奨されます 。
- より高度な機能を利用したい & 大規模なデータセットを扱いたい
- 推奨:Google AI Pro (有料)
- 理由:100万トークン(約1,500ページ)の膨大な情報処理能力 や、個人のGmail・Docsとの連携 が魅力です。ただし、データ保護の扱いは無料版と同じであるため 、ビジネス上の機密情報を扱う場合は推奨されません。
ビジネスの場合
- 1名(個人事業主)~数名。クライアント情報など機密性を守りたいが、AI利用はメール作成支援が中心
- 推奨:Google Workspace Business Starter
- 理由:月額$7からと低コストで、カスタムドメインのメールアドレスとエンタープライズ級のプライバシー保護(AI学習に利用されない) を両立できます。AI機能はGmailなどに限定されますが、安全なAI利用の第一歩として最適です。
- 機密情報を扱い、AIを組織全体で本格活用したい(文書作成、議事録、データ分析など)
- 推奨:Google Workspace Business Standard
- 理由:月額$14で、Docs, Sheets, Meet(議事録作成)を含む全アプリのAI機能が解放され、100万トークンのコンテキストも利用できます。Google AI Pro(月額$19.99)より安価に、より強固なデータ保護が得られるため、クライアント情報を扱う個人事業主にとっても最適な選択です。
- AI機能はStandardプランで十分だが、コンプライアンス対応(データの長期保管・監査)が必要
- 推奨:Google Workspace Business Plus
- 理由:AI機能はStandardと同一です 。このプランの価値は、法的要件に対応する「Google Vault」(電子情報開示とアーカイブ)機能にあります 。
- 大企業で、Salesforceや社内DBなど、Google外部のデータとAIを連携させたい
- 推奨:Google Workspace Enterprise / Gemini Enterprise
- 理由:Workspace内のデータだけでなく、社内のあらゆる基幹システムにAIを接続し、組織横断的なカスタムAIエージェントを構築・統制するための最上位プラットフォームです 。
Geminiは、個人利用からビジネス利用まで、幅広いニーズに対応できる生成AIサービスです。この記事を参考に、あなたのニーズに最適なサービスを選んで、Geminiの可能性を最大限に活用してください。
法人でのAI活用、成功の鍵はパートナー選びにあり
「Google Workspace with Geminiを導入したいが、どのプランが最適かわからない」「セキュリティ設定や社員への展開方法に不安がある」
このような課題は、多くの企業が直面するものです。ツールの導入はゴールではなく、あくまでスタートライン。特にAIのような先進技術は、専門知識を持つパートナーと連携することが成功への最短ルートです。
Google Workspace with Geminiの導入・活用のことなら「吉積情報」へ
法人でGoogle Workspace with Geminiの導入を検討されるなら、Google Workspaceのプレミアパートナーである吉積情報株式会社へ一度お気軽にご相談ください。
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