Google NotebookLM「音声概要」とは? – 資料を"聞いて"理解する新体験
まず、Google NotebookLMは単なるメモアプリではありません。あなたがアップロードした資料(PDF、Webサイト、Googleドキュメントなど)の内容をAIが理解し、要約や質疑応答を通じて、あなたの思考やリサーチをサポートする「AIリサーチアシスタント」です。
2025年4月、このNotebookLMに画期的な「音声概要(Audio Overviews)」機能が追加され、日本語にも対応しました。
https://blog.google/intl/ja-jp/company-news/technology/notebooklm-50/
これは、アップロードされた資料の内容について、AIが重要なポイントを抽出し、まるでポッドキャストのような対話形式の音声で解説してくれる機能です。
ここがポイント
- ただの読み上げじゃない: 資料の文章をそのまま読み上げるのではなく、AIが内容を理解・要約し、新たに生成した「概要」を、AI同士が会話する形式で聞かせてくれます。
- 驚くほど自然な日本語: Googleの最新AI「Gemini」により、人間同士が話しているような自然な日本語の会話が生成されます。
- 言葉の壁を越える: 英語のレポートとフランス語の記事をアップロードし、それらをまとめた「概要」を日本語の音声で聞く、といった使い方も可能です。
ビジネスシーンでの活用例
- 長文資料の時短インプット: 分厚い市場調査レポートや技術文書の要点を、読む代わりに「聞いて」素早く把握。
- 移動中や"ながら"学習: 通勤中や他の作業をしながら、会議の議事録や溜まった資料の内容を耳からインプット。
- 複雑な情報の理解促進: 難解なテーマも、AIによる解説的な対話を聞くことで理解が深まります。
- 海外情報の効率的な収集: 外国語の資料も、日本語の音声概要でスピーディーに内容をキャッチ。
知っておきたい注意点
- カスタマイズはほぼ不可: 現状、声の種類や話し方、会話のトーンなどを細かく調整することはできません。
- あくまで「概要」: AIが重要と判断した部分の要約なので、元の資料の細かいニュアンスや全ての情報が含まれているわけではありません。原文の正確な理解が必要な場合には向きません。
- まだ発展途上: Google自身もこの機能を「初期段階」としており、今後さらに改善されていく見込みです。
「音声概要」と「テキスト読み上げ(TTS)」は何が違う?
NotebookLMの「音声概要」と、一般的に「テキスト読み上げ(TTS = Text-to-Speech)」と呼ばれるAI音声サービスは、似ているようで根本的に異なります。ビジネスでどちらを活用すべきか判断するために、その違いを明確にしましょう。
比較ポイント
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NotebookLM 音声概要
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一般的なテキスト読み上げ (TTS) サービス
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何をしたいか?
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資料をAIが理解・要約 → 会話形式の音声で解説
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書かれた文字(テキスト)を → そのまま音声で読み上げ
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主な目的
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資料の内容を効率的に理解する (情報インプット)
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特定の文章から音声コンテンツを作成する (音声アウトプット)
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インプット
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文書ファイル、WebサイトのURLなど
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読み上げてほしいテキスト(文章、原稿など)
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アウトプット
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AIが生成した会話形式の「概要」
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入力したテキストの「読み上げ音声」
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音声の調整
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ほぼ不可 (言語選択のみ)
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話者、速度、声の高さ、感情などを細かく調整可能(サービスによる)
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コスト
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無料/Google Workpaceに付帯
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無料ツールから高機能な有料サービスまで様々
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得意なこと
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既存の資料から素早く要点をつかむこと
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特定のテキストから思い通りの音声を作ること
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一言でいうと…
- NotebookLM 音声概要: 手元にある資料やWebページの内容を「聞く」ことで、効率的にインプットしたい時に最適。
- テキスト読み上げ (TTS): プレゼン資料のナレーションやWeb記事の読み上げなど、特定の文章から「音声」そのものを作り出したい時に使う。
多様化するテキスト読み上げ(TTS)サービスの世界
テキスト読み上げ(TTS)サービスも多種多様です。ビジネス用途で考えられる主なタイプは以下の通りです。
クラウドAPI型 (Google Cloud, Amazon Polly, Microsoft Azureなど)
- 特徴: 高品質な音声が多く、自社のシステムやアプリケーションに組み込むのに適している。
- コスト: 使った分だけ課金される従量課金制が基本(無料利用枠あり)。
- 用途: システムの自動音声案内、大量のテキスト音声化など。
高機能・高品質型 (ElevenLabs, CoeFont, VOICEPEAKなど)
- 特徴: 非常に人間らしく自然で、感情表現も豊かな音声が作れる。自分の声をAIに学習させて使う(ボイスクローン)機能を持つものも。
- コスト: 月額・年額のサブスクリプションや買い切り型の有料ソフトが中心。
- 用途: 動画のナレーション制作、eラーニング教材、オーディオブック作成など、品質が求められるコンテンツ制作。
無料・手軽型 (VOICEVOX, Webブラウザツールなど)
- 特徴: 無料で利用できるものが多く、手軽に試せる。個性的なキャラクターボイスが使えるものも。
- コスト: 無料(ただし商用利用には制限がある場合が多い)。
- 用途: 個人的な利用、社内向け資料の読み上げ、試しに使ってみたい場合など。
これらのTTSサービスでは、多くの場合、話者の声(性別、タイプなど)を選んだり、話す速度や声の高さを調整したり、特定の言葉の読み方を指定したりといったカスタマイズが可能です。
あなたのビジネスに最適なAI音声ツールは? – 賢い選び方ガイド
では、NotebookLMと多様なTTSサービスの中から、あなたのビジネスニーズに合うのはどちらでしょうか?以下の質問に答えてみてください。
主な目的は?
A) 大量の資料やWebページの内容を効率よくインプットしたい → NotebookLM が有力
B) 特定の文章(ナレーション原稿など)から音声ファイルを作成したい → TTSサービス を検討
元になるデータは?
A) PDF、Word、Webサイトなど、既存の資料 → NotebookLM が得意
B) 自分で書いた文章や原稿 → TTSサービス が必要
音声に求めるものは?
A) とにかく内容の要点が分かればOK → NotebookLM
B) 一字一句正確に読み上げてほしい → TTSサービス
C) プロ並みのナレーション品質や特定の声質・感情表現が必要 → 高品質TTS
予算は?
A) まずは無料で試したい → NotebookLM または 無料TTS
B) 品質や機能のためならコストをかけられる → 高品質TTS や クラウドAPI
作成した音声をビジネス(商用)で使う?
A) Yes → TTSサービス のライセンス(利用規約)を必ず確認(特に無料ツールは注意が必要)
シナリオ別 おすすめツール例
- 「海外の最新技術レポート(PDF)の要点を、移動中に把握したい」
→ NotebookLM 音声概要 (多言語対応、要約機能、無料)
- 「新製品紹介動画のナレーションを、プロっぽく自然な日本語で作りたい」
→ 高品質TTSサービス (音声品質、カスタマイズ性、商用ライセンス)
- 「社内研修資料(Word)の内容を、耳でも確認できるようにしたい」
→ NotebookLM 音声概要 または 手軽なTTSサービス (コストや手軽さ重視)
- 「自社開発アプリに、操作案内の自動音声を入れたい」
→ クラウドTTS API (システム連携のしやすさ、安定性)
まとめ:目的によって使い分けるAI音声ツール
Google NotebookLMの「音声概要」は、既存の資料から情報を効率的にインプットするための強力なツールです。一方、テキスト読み上げ(TTS)サービスは、特定のテキストから音声コンテンツをアウトプットするためのツールです。
両者は得意なことが異なるため、どちらか一方が万能というわけではありません。あなたの「目的」に合わせて最適なツールを選択し、使い分けることが、AI音声技術をビジネスで賢く活用する鍵となります。
資料を「読む」だけでなく「聞く」という選択肢が加わったことで、情報収集やコンテンツ制作の可能性はさらに広がっています。ぜひこれらのツールを試して、あなたのビジネスの生産性向上や新しい価値創造に役立ててください。
Google Workspaceに付帯するNotebookLMについて詳細を知りたい方はGoogleCloudプレミアパートナーの吉積情報までお問い合わせください。
お問い合わせはこちらから:https://www.yoshidumi.co.jp/contact