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谷川 歩美

【Google Cloud Next '26 現地レポート】
結局何ができる?「Gemini Enterprise」で実現する業務自動化と最新機能の活用事例

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Googleの年1回の大規模イベント、Google Cloud Next '26が2026年4月22日から24日まで米国のラスベガスで開催されました。吉積情報のカスタマーサクセスチームのマネージャーとして、現地に視察に行ってまいりましたので、そこで得た最新技術やグローバルなユースケースをお伝えしてまいります。

今、一部で話題の「Gemini Enterprise」について、耳にしたことはありますでしょうか?このサービスは、今回のGoogle Cloud Next '26で特に注目を集めたサービスの一つです。そんなGemini Enterprise、今回のGoogle Cloud Next '26 でも新機能の発表など盛りだくさんでした。

しかし「Gemini Enterpriseって結局なに?」「Geminiアプリだけだとだめなの?」「新機能のイメージがわかない・・・」そんな声がいまにも聞こえてきそうです。

今回は、Googleが提供する企業向けAIソリューションGemini Enterpriseについて、先日発表された最新機能の中からいくつかピックアップして、具体的にどのように使えて、どんなメリットがあるのか、わかりやすく解説します。

※Google Cloud Next '26のセッション「What's new with Gemini Enterprise app」を参考に紹介します。

Gemini Enterpriseとは?「あなた専用の優秀なデジタル同僚」

Gemini Enterpriseを一言で表すと、「職場におけるAIの入り口」となる、エンタープライズグレードのAI・エージェントプラットフォームです。単なる対話型AIアシスタントにとどまらず、企業のあらゆるデータやシステムに接続された「自律的に動くエージェントのチーム」を、全従業員が活用・管理できるプラットフォームとなることを目的としています。

一般的なAIチャットとは異なり、以下のような特長があります。

※本記事内の画像はGeminiで作成しています。

  • 様々な社内データへのアクセス
    社内のドキュメント、メール、システムと連携し、自社の文脈を理解した回答を引き出せます 。Google以外の他社サービス(Salesforce、Microsoft 365等)からの情報取得も可能です。

  • AIエージェントによる自律的なタスク実行
    単に質問に答えるだけでなく、複数の手順を伴う業務をAIに「代行」させることができます 。

    これまで:AIとチャットをして人間がタスクをこなす
    これから:AIがバックグラウンドで長期的かつ自律的にタスクを処理する。人間の確認や承認(入力)が必要な時や結果が出た時だけ通知が送られてくる

  • エンタープライズ品質のセキュリティ
    入力したデータがAIの学習に使われることはなく、企業の厳格なセキュリティポリシーや権限管理の下で安全に運用できます 。

導入企業の成功事例:すでに成果を出している企業たち

海外の大手企業では、すでにGemini Enterpriseを使って大きな成果を上げています。

  • 大手コンサルティングファーム KPMG社
    Gemini Enterpriseをシステムの「コンシェルジュ層」と位置づけ、情報の「検索・理解」からシステム上での「行動」へと利用フェーズを進めています。

<実績>
約5万人に展開し、採用率は90%に達しています。
1日に最大45,000プロンプトが利用され、15,000のローコードエージェントが作成され、そのうち800が共有されるなど、ボトムアップのイノベーションが起きています
<具体例>
マーケティング資料などの知的財産(IP)リスクや侵害を自動で発見・評価するドキュメントレビューエージェントが構築され、時間の節約に貢献しています

  • 大手保険会社 Signal Iduna社
    「まず使い、次に事例を作り、そして価値を生む(First use, then case, and then value)」という戦略のもと、全従業員11,000人に展開しました

<実績>
月間アクティブユーザー数は80%を誇り、100名以上のAIアンバサダーが普及を推進しています
<具体例>
古く大規模な医療データベースを情報源としたカスタマイズの「ヘルスケアエージェント」を開発しました。導入後3ヶ月で利用が400%増加し、顧客からの問い合わせに対する回答時間が37%短縮、他部署への転送率がわずか3%に低下する成果を上げています

具体例や実績はさることながら、両者に共通して「まず使ってみる」「エンジニアだけでなくみんなが作る・使う」という点が素晴らしいと感じました。

さらに進化!Cloud Nextで発表されたGemini Enterpriseの「新機能」

先日の「Google Cloud Next」のセッションでは、新機能がどのように実際の業務に組み込まれるか、銀行のローン審査プロセスを例にデモが行われました。

セッションで紹介されたデモを例に、アプリをまたいだマルチタスクの流れを見てみましょう。

銀行のローン審査プロセスの自動化

①情報の集約(Google Drive / 外部システム)
エージェントに対し「未処理の住宅ローン申請を最新の10件取得して」と指示するだけで、適切なエージェントが複数のデータソースから情報を集めます 。

②高度な分析と評価
取得したデータに基づき、ドキュメントの検証、信用照会、リスクアセスメント、コンプライアンスチェックを自動で行います 。

③外部ツールへの連携(ServiceNow / メール)
人間の確認が必要な項目が見つかると、外部の管理システム(ServiceNowなど)に自動でインシデント(案件)を作成し、担当者へメールで通知を飛ばします 。

④アウトプットの作成(Canvas / Slides / Docs)
審査結果のサマリーをHTMLレポートとして作成したり、それを基にしたプレゼン用スライドを「Canvas」機能で瞬時に生成したりできます 。

⑤コミュニケーションアプリでの共有(Google Chat / Slack)
作成したレポートや統計情報は、Google ChatやSlackからエージェントを呼び出す(メンションする)だけで、チームメンバーに即座に共有可能です 。

なぜこれが可能なのか?

Gemini Enterpriseが単なるチャットツールから、「自律的に働くAIチーム」へと進化する、特に注目の新機能のポイントを4つご紹介します。

裏側で数日間働き続けるLong-running Agents (長期実行エージェント)

これまでAIは「人間が質問して、その場で答える」という使い方が主流でした。しかし新しいGemini Enterpriseでは、人間の代わりに数時間、あるいは数日かけて複雑なタスクを裏側で処理し続けるエージェント(ロングランニング・エージェント)が利用可能になります。 例えば、「未処理のローン審査書類を100件まとめてチェックし、リスク評価を行う」といった時間のかかる作業をAIに任せ、人間は別の業務に集中できるようになります。

AIからの報告を受け取る「受信トレイ(Inbox)」の登場

AIエージェントたちが裏側で自律的に働くようになると、人間はAIの作業結果を確認して承認する「上司」のような役割になります。 そこで新たに「受信トレイ(Inbox)」というダッシュボード機能が追加されます。

具体的には、AIが「人間によるレビューが必要」とフラグを立てた場合、担当者の Inbox に通知が届くよう条件分岐を設定します。担当者が承認・拒否を判断すると、その結果が ServiceNow 上にインシデント(チケット)として自動起票され、メールで通知されます。

受信トレイ(Inbox)では「AIが完了したタスクの報告」や「AIから人間への確認依頼(例:この書類は例外処理が必要ですが、承認しますか?)」が一覧で表示され、効率的にAIチームを管理できるようになります。

>筆者メモ

Human-in-the-Loop(ヒューマン・イン・ザ・ループ)と言って、AIの学習や意思決定プロセスに人間が積極的に介在し、AIと人間が協力してシステムを運用・改善する手法が重要視されていますが、まさにそれを効率的かつ、漏れなく実施するための機能だと感じました。AIの判断を人が確認・修正することで、精度向上、安全性確保、責任の明確化を実現します。

プログラミング不要!「ノーコード」で独自のAIを作成

現場のローン担当マネージャーは、ノーコードエディタを用いて「毎日スケジュール実行し、最新のローン申請を取得してフルコードエージェントに渡す」というフローを作成します。つまり、社内独自のルールに従って動くAIを、エンジニアでなくても比較的直感的な画面操作(ノーコード)で作成・テスト・公開きるようになります。

その他の事例としては、「毎朝9時に最新の顧客データを取得し、特定の条件に合致したら担当者にメールで通知する」といった自動化の仕組みを、業務担当者自身が簡単に構築できるということも紹介されました。

ドキュメントやスライドの作成を支援する「Canvas」「Projects」「Skills」

  • Canvas: AIと会話しながら、資料の草案を共同で作成できる機能です。作成したレポートは、Google ドキュメントやスライド、さらにはMicrosoft 365のWordやPowerPoint形式で出力することも可能です 。
    デモ画面では、左側にAIとのチャット、右側に「Campaign Brief」などの文書や生成されたスライドデッキが並んで表示され、AIと共同作業しながら即座に共有可能な資料を完成させる様子が示されました

  • Projects: 人間とAIエージェントが、長期間にわたりファイルや会話履歴(コンテキスト)を共有しながら同時並行で共同作業できる永続的なワークスペースです。これまでの文脈や資料をチーム全体(AI含む)で記憶・共有しながらプロジェクトを進めることができます。例えば、特定のプロジェクトファイルやデータのみに権限を限定し、継続的に活動内容やアクションアイテムを自動要約させることが可能です。

  • Skills: 特定のタスクを標準的かつ一貫した方法で呼び出すための機能です。「ブランドガイドライン」や「カスタマーサポート」といった高度な専門知識を、推論プロセスを複雑にすることなくエージェントに組み込むことができます。

このように、Gemini Enterpriseは「アプリ間のハブ(中心)」として機能し、バラバラだった業務ツールを一つの強力な自動化プラットフォームへと統合します。これにより、従業員はツールを切り替える手間から解放され、本来集中すべき判断や意思決定に専念できるようになります。

経営層も安心の「ガバナンスと管理機能」

どんなに便利なAIでも、情報漏洩や誤作動(ハルシネーション)があっては企業では使えません。Gemini Enterpriseは管理者のための機能も強力にアップデートされています。

  • Agent Gateway: AIが外部システムとやり取りする際の「関所」として機能し、会社のポリシーに反するデータの持ち出しや不正なアクセスをブロックします。

  • 詳細なログと監査: 「誰が・どのAIを使って・どのようなデータにアクセスしたか」を詳細に追跡・可視化できるため、コンプライアンス要件の厳しい企業でも安心して導入できます。

AIは「使う」時代から「一緒に働く」時代へ

Gemini Enterpriseの進化により、AIは単なる「便利な道具」から、組織の生産性を大きく向上させる「デジタルなチームメンバー」へと変わろうとしています。

定型業務や情報検索にかける時間を減らし、人間はより創造的な業務や顧客との対話に時間を使えるようになります。

今回はGemini Enterpriseの魅力や新機能について、ピックアップしていくつか事例と共にご紹介しました。

「自社の業務のどの部分をAI化できるだろうか?」「導入するには何から始めればいいか?」とお悩みの方は、ぜひGoogle Workspaceの専門家である弊社にお気軽にご相談ください。貴社の課題に合わせた最適なAI活用プランをご提案いたします。

谷川 歩美
谷川 歩美
吉積情報株式会社 カスタマーサクセス担当。 前職での Google Workspace の自社への導入経験を経て、 吉積情報では、お客さまの成功を願って日々活動中! Google Workspace や自社サービス「Cmosy」「共有ドライブマネージャー」等の活用促進を担当しています。
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