森田 嶺

Anthropic(アンスロピック)の生成AI「Claude(クロード)」とは何か? Google Bard との関係は?

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2023年5月4日、バイデン大統領、ハリス副大統領含む、米政府高官がジェネレーティブAIを提供する主要4社トップと会談を実施したというニュースをご存知でしょうか。その会談の中で、米政府は「企業がAIの安全性に責任を持つこと」を要請した一方で、政府としても技術革新に対して協力する姿勢を示したとされています。その会談には、 Google のスンダー・ピチャイCEOやOpenAIのサム・アルトマンCEOが参加していましたが、1社だけ私には聞き慣れない企業が含まれていました。それこそが今回のテーマであるAnthropic(アンスロピック)という企業です。Anthropicとは一体どのような企業であり、どのようなAIサービスを提供しているのでしょうか?

Anthropicとはどのような企業?

Anthropicは米国のスタートアップ企業で、設立はなんと2021年です。つまり、たった2年間で、米国におけるジェネレーティブAI主要企業トップ4まで上り詰めたことになります。Anthropicは、事業として「人間のような知性を持つAI」の実現を目指しています。

Anthropicの理念とは

Anthropicは、企業としてのパーパスに以下を掲げています。

AI は世界に多大な影響を与えると私たちは信じています。Anthropic は、人々が信頼できるシステムを構築し、AI の機会とリスクに関する研究を生み出すことに専念しています。

Anthropic「Our Purpose」より

このパーパスからもわかりますが、Anthropicは「AIの透明性」を重視しています。AIの意思決定プロセスが透明であることは、人間がAIを信頼し、その行動を理解する上で極めて重要だと考えているからです。透明性が保証されれば、AIのシステムがどのような情報を用いて判断を下しているのか、またその判断がどのような結果を生む可能性があるのかを把握することができます。ただ、利益のために技術革新を目指すのではなく、社会的に意義のある、安全性の高いAIの実現を目指しています。

Google から620億円の資金調達を実現

米政府との会談から数週間後、さらに衝撃的なニュースを目にしました。Anthropicが Google から620億円の調達に成功したというニュースです(※1)。日本経済新聞社の記事によると、620億円という額は、2023年のOpenAIに次ぐ規模とのことです。出資の規模が大きすぎて、どうしてもお金のことばかりに目がいってしまいますが、それ以上に Google がAnthropicに対して大きな可能性を感じているという事実が一番の衝撃です。

※1 「AI開発の米アンスロピック、Googleなどから620億円調達」日本日経新聞より

Anthropicが開発する生成AI「Claude」とは?

Anthropicは具体的にどのようなAIサービスを提供しているのでしょうか。本章では、Anthropicが提供する「Claude」の概要について解説します(※2)

※2 本章は、検証のためのClaudeアカウントを作成することができなかったため、公式ページや公式ブログを参照した内容を要約した内容になっています。実際に動作させて検証したわけではないことはご了承ください。

Claudeとはどのようなサービスか

Claudeは、Anthropicが提供する次世代型AIアシスタントです。ChatGPTや Google Bard と同様にチャットインターフェースをユーザーに提供しています。また、APIの提供、及びSlackにも対応しており、他のサービスと連携しやすい形で設計されています。

Anthropic(アンスロピック)の生成AI「Claude(クロード)」とは何か? Google Bard との関係は?

Claudeの強みとは

Claudeの公式ページを見ると、サービスの強みは以下4つに集約できるようです。

① 山ほどのテキストを処理できる

Claudeは、大量のデータを処理することができます。具体的には、構造化データの編集、要約、分類、抽出、及び、コンテンツに基づいた Q&A などを行うことができます。

② 自然な会話ができる

Claudeは、会話の中で様々な役割を担うことができ、役割の詳細とよくある質問に対する FAQ を事前に提供しておくと、Claudeは適切、且つ自然な会話をユーザーに対して実現することができます。

③ 答えを得ることができる

Claudeは、技術的、科学的、文化的知識に関する詳細な背景を備えた、膨大なデータでトレーニングを行っているため、人間には絶対に記憶できないような広範な一般知識を持っています。そのため様々な分野に関する質問に対しても回答することができます。

④ ワークフローを自動化できる

Claudeは、必要に応じて出力をフォーマットしたり、IF-THEN ステートメントに従ったり、単一のプロンプトで一連の論理評価を実行したりするなど、さまざまな基本的な命令と論理シナリオを処理できます。

これら4つの強みについては、一見他のジェネレーティブAIにも備わっているように思えます。私はClaudeを実際に検証したわけではないため、直感的にも、具体的にも「ClaudeはChatGPTや Google Bard と比較してどこが優れているのか」について説明することができません。しかし、活用事例を見てみると、「ユーザーとのコミュニケーション」にClaudeが組み込まれているケースが多いため、②の部分がClaudeの強みだと思われます。

Claudeは日本語に対応している?

Claudeは、最も英語のトレーニングを受けており、他にも様々な言語でパフォーマンスを発揮できると公式ページには明文化されていましたが、具体的にどの国の言語に対応しているのかは確認することができませんでした。ただ、 Google が大きな投資をした事実からも分かる通り、Claudeはグローバルなサービスを目指しているはずなので、いずれは日本語にも対応するとは思います。ただ、現時点で日本語対応は未定となっています。

ClaudeはAPIも提供

ChatGPT同様、Claudeは、私たちが開発するアプリケーションにClaudeの機能を組み込むためのAPIも提供しています。私たちがすぐにインテグレーションを開始できるように、Python と Typescript のサンプルコードを含むAPIドキュメントを用意しています。ClaudeのAPIについて詳しく知りたい方は公式のAPIドキュメントをご確認ください。

Slackにも対応

ClaudeはSlackにも対応しており、Q&Aによるサポートや要約等の機能によって、ユーザーの生産性を向上させてくれるとのことです。DMメッセージにも対応しているため、オープンチャンネルでは確認しにくい、社員一人一人の課題を陰で支える役割も期待できます。

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Claude の利用料金は?

料金体験はコチラをご参考ください。ChatGPTと同様、言語モデルの単価と入出力のトークン量によって利用料が決まります。

Claude と Google Bard のアプローチの違い

Google Bard とClaude は、それぞれがAIの領域で別の問題を解決しようとしている点で重要な違いがあります。 Google Bard は、人間と自然な対話が可能なAIの開発に主眼を置いていますが、それに対してClaudeは、AIがどのように思考し、決定を下すのかを人間が理解できるようにすることに焦点を当てています。 Google Bard は、質問応答、文章生成、情報収集など、NLPのタスクにおけるパフォーマンスの向上を目指していますが、ClaudeはAIの「ブラックボックス」問題、つまりAIがどのように複雑な決定を下すのかが不透明であるという問題に対処しようとしています。 それぞれのアプローチはAI技術の進歩を反映しています。Google Bard はAIが人間と同じように情報を処理し、表現する能力を高めることを目指しています。一方、Claudeは、それらの能力だけでなく、AIの意思決定過程を人間が理解しやすい形で説明することに重きを置いています。

現在日本では利用できない?

Anthropicのプロダクトページにアクセスし、手持ちの Google Workspace アカウント、個人の Gmail アカウントで利用リクエストを発行してみましたが、1週間経過してもメールが届きません。もしかすると、日本からの利用については現在制限されているのかもしれません。例えば、 Google Cloud Platform を利用して米国リージョンにサーバーを立てて、そこからリクエストを発行すれば利用できるかもしれないですが、それについては検証していません。

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Google の狙いとは?

私が気になるポイントは「なぜ Google はAnthropicに多額の投資をしたのか」という点です。 Google はAI技術の開発に力を入れていますが、Anthropicのような外部のスタートアップに投資することにどのような意味があるのでしょうか。前述した通り、 Google とAnthropicでは、同じくAIを主要事業とする企業ではありますが、多少AIの開発に対するアプローチが異なります。そういった意味で、 Google は異なるケイパビリティを保持する企業として、Anthropicを取り込みたいという意図がある気がしています。要は、Google が実現したいAIのエコシステムの中にAnthropicを取り入れたいという意図です。

まとめ

最近までの私と同様、初めてAnthropicを知った方も多いのではないでしょうか。私が一番驚いたのは、設立からたった2年で米国におけるAI主要企業トップ4まで上り詰めたことです。昨今のジェネレーティブAIの技術革新のスピードは凄まじく、しばらくすれば、また新たなイノベーティブなサービスを提供するユニコーン企業が生まれてもおかしくはない世の中になっています。

しかし、忘れてはいけないのは、現在のジェネレーティブAIの進化には「企業の責任」が強く問われている点です。Google とAnthropicではAI開発におけるアプローチは異なりますが、「AIは人間社会にとって有益かつ安全な存在である」「AIによって人間の生活が豊かになる世界を目指す」という点において、究極的に実現したい目標は同じです。だからこそ、理念が一致するからこそ、その前提があるからこそ、 Google はAnthropicに620億もの投資を行ったということは忘れてはいけないと思います。

森田 嶺
森田 嶺
大学卒業後、 AWS や Google Cloud 等、主にクラウドを基盤とした新規サービス開発の経験を経て、YOSHIDUMIに入社。Google ドライブ拡張サービス「Cmosy」「共有ドライブマネージャー」等、 Google Cloud を活用した自社サービスの開発に従事。現在、 Google 等が提供する生成AIを活用したサービスを開発中。
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