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森田 嶺

【Antigravity連載⑪】会社で使って大丈夫?Antigravityにおける個人情報の扱いを解説

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Antigravityで顧客管理ツールを作ったり、問い合わせ対応を自動化したり、社員向けの業務アプリを開発したり・・・こうした用途を考えたとき、気になるのが個人情報の取り扱いではないでしょうか。顧客の氏名やメールアドレスを読み込ませてもよいのか、入力した情報がAIの学習に使われるのかは、企業として確認しておきたいポイントです。

私は、企業としてAntigravityを業務に導入するなら、Gemini EnterpriseやGoogle Cloudを通じた法人向けの利用がベターであると考えています。法人向けには、データを学習に利用しない条件や、組織として利用を管理する仕組みが用意されているためです。

今回は、個人向けと法人向けで何が違うのか、なぜ企業には法人向けの利用をおすすめするのかを解説します。

企業利用では社員の注意力に頼らないことが重要

個人情報を入力しないよう社員に呼びかけることは大切です。ただ、毎回すべての情報を確認してからAIに渡すことを、会社全体の運用の前提にするのは難しいと考えています。

Antigravityには、作業対象のファイルを読み取る機能があります。例えば、顧客一覧のファイルを読み込ませて処理を作る場合、チャットに氏名を直接書かなくても、AIはファイルを通じて個人情報を扱うことになります。読み取れる範囲は権限設定によって変わります。

こうしたツールを業務で使う以上、入力欄だけに注意を向ける方法では、確認すべき範囲を十分にカバーできません。個人情報を含む業務データを扱う可能性を踏まえて、会社として適切な契約と管理機能を選ぶことが重要です。

そのため、企業導入では、社員一人ひとりに設定や判断を任せるのではなく、法人向けの環境を会社が用意する進め方をおすすめします。また、利用者が業務に集中できるよう、データ保護の条件を導入時点でそろえておく方が、管理者にとっても負担が少ないと考えます。

法人向けAntigravityは業務データが学習されない

法人向けには、Gemini Enterpriseの対象ライセンスを利用する経路と、Gemini Enterprise Agent Platformを利用する従量課金の経路があります。いずれも、Google Cloudの利用規約のもとでAntigravityを利用することができます。Google Cloudの認証情報で利用する場合、企業データは学習に使用されません。

企業にとって重要なのは、この保護が法人向けの利用条件として示されていることです。個人向けの環境で各自が設定を変更する運用と、会社の契約に基づく環境を利用する運用には、明確な違いがあります。

ただし、学習に利用されないことは、あらゆる事故が起きないという意味ではありません。外部サービスへの送信やファイルの変更など、AIが行う操作については別の管理が必要です。そこで意味を持つのが、法人向けの管理機能です。

Gemini EnterpriseではAIに許可する操作も組織で管理できる

Gemini Enterprise版Antigravityには、管理者がAIの作業範囲を制限する機能が用意されています。具体的には、作業環境を隔離するサンドボックスの適用や、ブラウザ・MCPサーバーの権限制限です。

この仕組みを使えば、会社として許可する操作範囲を設定するという運用が可能になります。利用者への注意喚起に加えて、システム側にも制限を設けられる点が、企業利用では重要だと考えています。

例えば、外部連携を業務に取り入れる場合も、接続の可否を個々の社員の判断だけに任せず、管理者が許可する範囲を定める進め方が考えられます。どの業務にどの制限を適用するかは組織で決める必要がありますが、その判断を設定に反映するための機能が用意されています。

監査ログによってユーザーの操作も管理できる

Gemini Enterprise向けには、入力した指示、AIが実行した操作、生成した成果物を記録する監査機能も用意されています。この機能を有効にすることで、作業内容を後から確認するための記録を残せます。

監査ログは、企業としてAIの利用を管理するうえで役立つ仕組みです。問題が起きた際に、何を指示し、どのような処理が行われたのかを調べることができます。

学習への不使用と、業務上の記録を残すことは管理者にとって両立が必要です。ログを残す場合は、閲覧権限や保存の設定を管理者側で確認し、会社の情報管理方針に組み込むことになります。利用する社員全員に記録の仕組みを理解させるよりも、導入時に管理部門が扱いを整理する方が、現実的な進め方だと考えています。

会社のアカウントでログインするだけでは法人向けにならない

これはどういうことかというと、Gemini Enterprise版Antigravityを利用することを前提として、例えば、会社で用意されたGoogle Workspaceアカウントでログインすれば、自動的にAntigravityが対象となるGemini Enterpriseが紐づくわけではないということです。

法人向けの導入手順では、ログイン時にBusiness accountを選択し、Google Cloud経由で認証したうえで、利用するライセンスやGoogle Cloudプロジェクトを選びます。会社が契約した環境に接続して利用することが、法人向けの保護を受ける前提になります。

法人向け契約ではAntigravity IDEがサポート対象外

ただ、法人向け契約では、一部のAntigravityアプリがサポート外であることに注意が必要です(2026年9月22日現在)。企業向けAntigravityの対象は、Antigravity 2.0、CLI、IDE拡張機能です。単体版のAntigravity IDEは、現時点では企業向け展開の対象外とされています。Antigravityという名称が同じでも、すべてのアプリで同じ利用方法を選べるわけではありません。

そのため、会社として導入する場合は、管理部門が対応するアプリと認証方法を確認し、社員が使う環境をそろえることをおすすめします。既に個人で試している社員がいる場合も、業務利用を始める段階で、会社が用意した環境に切り替える方針を明確にするとよいでしょう。

ここは、利用者に毎回注意を求める部分ではなく、導入時に会社側で整えておく部分です。法人向けの契約を用意することと、その契約が適用される方法で利用することを、セットで進める必要があると考えています。

個人向けAntigravityはデータの利用条件を理解した上で使う

一方、個人向けのAntigravityについては、入力データの扱いを理解したうえで、用途を選ぶ必要があります。個人向けに適用される「追加利用規約」では、ユーザーに関するデータ、AIとのやり取り、関連情報、フィードバックなどが記録・保存の対象です。これらは製品やサービス、機械学習技術などの開発・改善に利用され、従業員や委託先が内容を確認する場合があります。

こうした条件を踏まえると、個人学習や、公開情報・架空データを使った試作などから活用する方法が考えられます。個人向けだから一律に利用を避けるという話ではなく、扱う情報と利用条件が合っているかを判断することが重要です。

Google AI ProやUltraは法人向け契約にはならない

Google AI ProやGoogle AI Ultraは、有料プランではありますが、法人プランではありません。社員が個人で契約したプランを業務に使う場合は注意が必要です。会社の個人情報や機密情報を扱う用途では、法人向けの環境を標準とすることをおすすめします。

まとめ

企業としてAntigravityを導入するなら、Gemini EnterpriseやGoogle Cloudを通じた法人向けの利用を推奨します。学習に利用されない条件を適用し、必要に応じて組織向けの管理機能を使うことで、社員の注意力だけに依存しない運用を目指せるためです。個人向けは、データが開発・改善に利用される条件やオプトアウトの仕組みを理解し、用途を選んで使うものになります。

個人情報を含む業務データを扱う可能性があるからこそ、会社が適切な利用環境を用意する。この考え方を基本にすることが、Antigravityの利便性を企業の業務に取り入れるうえで重要だと考えています。

森田 嶺
森田 嶺
大学卒業後、 AWS や Google Cloud 等、主にクラウドを基盤とした新規サービス開発の経験を経て、YOSHIDUMIに入社。Google ドライブ拡張サービス「Cmosy Pocket」「共有ドライブマネージャー」等、 Google Cloud を活用した自社サービスの開発に従事。現在、 Google 等が提供する生成AIを活用したサービスを開発中。https://x.com/r__morita
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