これまで公開範囲は同一ドメイン内に限定されていた
これまでのGoogle Workspace版Gemini Notebookは公開範囲がGoogle Workspaceの同一ドメイン内での共有に制限されていました。それが今回のアップデートにより、Google Workspaceの管理下で、社外共有の範囲を選べるようになりました。つまり、社内だけに限定する運用、取引先に限定する運用、公開資料を広く届ける運用を、用途に合わせて設計できるようになりました。
Gemini Notebook Enterpriseを使うしか社外公開はできなかった
Gemini Notebookには、Google Workspaceで使えるプロダクトとは別に、Gemini Enterprise(※1)で利用可能な「Gemini Notebook Enterprise」も存在します。Gemini Notebook Enterpriseを利用すれば、共有先にもライセンス配布が必要になりますが、ノートブックの社外共有は可能です。Gemini Notebook Enterpriseについて詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。
※1 Gemini Enterpriseを端的に表現すると「企業の情報・業務・AIエージェントをつなぐ、企業向けAIプラットフォーム」です。Google Workspaceが個人・チームの生産性を上げるグループウェアだとすると、Gemini Enterpriseは組織全体のデータを活用し、組織全体の生産性を上げるためのAIプラットフォームです。
管理コンソールで制御可能な項目
Google Workspaceの管理コンソールに新たに実装されたGemini Notebookの共有設定の画面は以下の通りです。構成的には、Googleドライブの共有設定に似ています。
管理者が最初に選べる外部共有のオプションは以下3つです。
その上で追加オプションとして「リンク公開」も有効化することができます。ただ、リンク公開については、外部公開が「オン」に設定されている場合に有効になるため、管理者が選べる設定のパターンは、以下4つに整理できます。
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管理者の設定
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共有できる範囲
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オフ
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組織外への共有を禁止
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許可リストのドメイン
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指定したドメインのアカウントに限定
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オン
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任意の外部メールアドレスに共有
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オン+公開共有
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任意の外部メールアドレスへの共有、及びリンクを知っている人への公開も許可
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初期設定では社外共有はオフです。設定はドメイン全体だけでなく、組織部門やグループ単位でも制御できます。
外部共有の使い分けとリンク公開の仕様
例えば、特定の販売代理店に資料を提供するなら、許可リストと個別共有を組み合わせる運用が候補になります。一方、一般向けの製品マニュアルを公開するなら、リンク公開を検討できます。これは機能の違いを踏まえた運用例です。まず共有対象を決め、その対象に必要な範囲だけ許可することをおすすめします。
また、ノートブックへのアクセスにはGoogleアカウントへのログインが必要です。誰でも匿名で利用できる一般的なWebページとは利用条件が異なるため、顧客向けの案内にも明記が必要です。
管理者が社外共有を許可する手順
社外共有を始めるには、まずは管理者側の設定が必要です。ここでは組織部門を指定する手順を説明します。操作にはGemini設定の管理者権限が必要です。
- Google管理コンソールにログインします。
- 左メニューから[生成AI]→[Gemini Notebook]を開き、以下の赤枠のアイコンをクリックします。
- 対象の組織部門を選びます。選択組織に対して既に上位組織の外部共有設定が完了している場合は、必要に応じてオーバーライドします。
- 組織外との共有設定で、許可リストのドメイン、またはオンを選択します。
- リンク公開も認める場合は、4をオンにしたうえで[一般公開の共有]を有効にします。
- 設定を保存します。
許可リスト方式では、編集画面で共有先のドメインを登録します。この方式の共有先は対象ドメインの個別アカウントであり、Googleグループへの共有はサポートされません。設定変更の反映には最大24時間かかる場合があります。
導入時は、社外向け資料を管理する部門から始める運用をおすすめします。例えば、製品情報の公開は広報部門、取引先向け資料は営業部門というように、資料の管理責任と設定対象を合わせます。誰が公開を判断するのかまで決めておくと、利用者も共有範囲を選びやすくなります。
利用者がノートブックを社外公開する手順
特定の取引先に限定して共有する
取引先の担当者など、閲覧者が決まっている場合はメールアドレスを指定します。
- 共有するノートブックを開きます。
- [共有]アイコンを選択します。
- 相手のメールアドレスを追加し、閲覧者または編集者の権限を設定します。
- 「送信」ボタンを押下して、ノートブックの共有を実行します。
閲覧者と編集者の権限の違い
閲覧者は共有されたソースやノートを閲覧できます。編集者はソースやノートの追加・削除に加え、他のユーザーへの再共有も可能です。資料を読んでもらう目的なら閲覧者を基本とし、共同で資料を整備する場合に編集者を検討しましょう。
送付前には、相手が利用するアカウントと登録したメールアドレスが一致しているか確認することをおすすめします。特に許可リスト方式では、どの会社のどのアカウントに共有するのかを明確にしておくことが大切です。
リンクを使って公開する
公開資料を広く案内したい場合は、管理者が公開共有を許可したうえで、次の操作を行います。
- 公開するノートブックを開きます。
- 右上の[共有]を選択します。
- アクセス範囲を[リンクを知っている全員]に変更します。
- 「送信」ボタンを押下して、ノートブックのリンク公開を実行します。
公開リンクの生成と公開範囲の管理は、所有者または編集者が行えます。公開状態は共有ボタン付近の地球アイコンでも確認できます。
セキュアな運用のために押さえたい注意点
Gemini Notebookの社外共有は、取引先や顧客への情報提供に活用できます。ただし、企業で利用する際は、共有を許可する対象者、編集権限を持つ人、ソースとして登録する資料をセットで管理する必要があります。ここでは、運用を始める前に押さえたい三つのポイントを解説します。
組織全体への社外共有の許可は慎重に判断する
前述した通り、管理コンソールでは、社外共有を禁止する設定、指定したドメインに限定する設定、任意の外部メールアドレスへの共有を許可する設定を選べます。さらに、公開共有を有効にすると、リンクを知っている人への公開も可能になります。社外への個別共有とリンク公開は、分けて管理する仕組みです。
組織全体で許可しても、すべてのノートブックが自動的に公開されるわけではありません。ただし、共有操作を行える対象者が広がるため、各担当者の判断によって社内資料が外部に共有されるリスクを考慮する必要があります。例えば、営業資料を取引先に渡すつもりでも、同じノートブックに社内向けの価格検討資料が入っていれば、その内容まで共有対象になり得ます。
そのため、導入時は社外共有が必要な組織部門に対象を絞り、取引先が決まっている場合はドメインの許可リストを活用することをおすすめします。全社で許可する場合も、共有可能な情報の基準と公開前の確認担当者を決め、利用者の判断だけに委ねない運用を整えましょう。
編集権限のリスクを正しく理解する
ノートブックの編集者は、ソースやノートを追加・削除するだけでなく、他のユーザーへの再共有も可能です。また、公開リンクの生成と公開アクセスの管理は、所有者に加えて編集者も行えます。
つまり、管理者が公開共有を許可している環境では、編集者を増やすほど、リンク公開を操作できる人も増えます。共同作業のために編集権限を付けた結果、所有者が想定していた範囲を超えて公開される可能性があります。編集権限を付与すれば、許可された範囲内で再共有できる点には注意が必要です。
資料を読んだり質問したりするだけの相手には閲覧権限を付与し、編集者は資料の管理に必要な人に限定しましょう。共同編集を行う場合も、公開範囲の変更は責任者に確認する、作業終了後は権限を見直す、といったルールを決めておくことをおすすめします。
追加するソースは公開を前提としたファイルにする
リンク公開するノートブックには、最初から一般公開して問題のないファイルだけを追加する運用をおすすめします。取引先への限定共有であれば、その相手への提供を承認した資料に絞ります。確認対象はAIが生成した要約だけでなく、ソースの内容そのものです。
例えば、顧客向けFAQを公開するなら、社内検討用のノートブックをそのまま使わず、公開済みの製品説明書や承認済みのFAQで専用のノートブックを作る方法を考えます。公開後にソースを追加する際も、同じ基準で確認してください。便利に共有できるからこそ、公開できる資料を選び、権限を絞り、更新時にも確認する運用を徹底することが大切です。
まとめ
Google Workspace版Gemini Notebookで社外共有が可能になったことで、社内で整理した情報を取引先や顧客にも届けやすくなりました。公開可能な製品資料やFAQをまとめ、利用者が自分の疑問を質問できる形で提供するなど、企業の情報発信にも活用の幅が広がります。
一方で、共有するノートブックにどの資料を含めるか、誰にどの権限を与えるかによって、情報の公開範囲は変わります。チャット表示にすれば元資料を保護できるわけではなく、コピーの制限だけで内容の持ち出しを防げるわけでもありません。こうした仕様を理解したうえで、公開対象の資料を選び、更新時にも内容を確認する運用が必要です。
まずは公開可能な資料と必要な共有先に範囲を絞り、管理者の設定と社内の運用ルールを整えながら活用を進めることをおすすめします。利便性への期待とともに、情報を社外に提供するリスクも理解し、慎重に運用することが、Gemini Notebookを企業で継続して活用するための土台になります。